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2020 年度 実施状況報告書

構造解析を基盤とした低利用植物タンパク質の機能性強化と食品素材への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K05875
研究機関京都大学

研究代表者

桝田 哲哉  京都大学, 農学研究科, 助教 (80311744)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード甘味 / タンパク質 / 構造変化 / 耐熱性
研究実績の概要

ヒトが甘味を感じるタンパク質の耐熱性を高める
近年、肥満、糖尿病をはじめとする生活習慣病が社会問題となっており、ショ糖に代替できる甘味料が切望されている。甘味タンパク質ソーマチンはショ等に比べモル比で10万倍と非常に強い甘味を呈するノンカロリー甘味料であるが、甘味発現に必須な構造的特性については未だ明らかとなっておらず、高分解能X線解析を行い、水素原子を含めた詳細な構造特性を明らかにするとともに、甘味受容体とのドッキングモデルから想定される相互作用領域に変異を加え、更なるソーマチンの高甘味度化を達成できれば、新規なタンパク質性甘味料の創出に繋がるロールモデルとなり得る。しかしながら、ソーマチンは中性及び塩基性条件下で加熱を施すと急激に変性し甘味を消失するため、より多くの食品に活用するためには、これら条件下での熱安定性の向上が重要である。本研究では、pH変動に伴い構造変化するアミノ酸残基に着目し、ソーマチンの熱安定性に寄与する構造要因を解明することを目的とした。
【方法・結果】pH7及びpH10条件下でwild-typeおよび熱安定性が向上した変異体の結晶を作製し、非凍結結晶あるいは凍結結晶を用いて回折実験を行った。構造の精密化を現在行っているが、pH7で熱安定性が向上した変異体では、新たな水素結合の形成が確認できた。pH10で熱安定性が向上した変異体では、新たな水素結合の形成や静電的反発の消失により、wild-type特有の構造変化が見られなかった。本結果をもとに更に解析を進め、ソーマチンの熱安定性に寄与する構造要因を明らかにし、耐熱性を高めたタンパク質の創出に繋げたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究前期はコロナの影響で変異体タンパク質の発現を行えなかった。また放射光施設での実験も7月以降に開始したため、当初目論んでいた実験を十分には行えなかった。そこで後期は立体構造から安定性に寄与するアミノ酸残基を検討し、それら候補の中から変異体作製を厳選して行った。その結果、耐熱性が増した変異体がいくつか得られたことから、当初の予定通り順調に実験が進められていると考えている。

今後の研究の推進方策

新たな水素結合の形成や静電的反発の消失により、中性、塩基性条件下で耐熱性を持たせることが確認されたため、立体構造モデルからこれら条件を満たすアミノ酸残基をターゲットとして、さらなる耐熱化を目指す。またpH変化に伴う構造変化がどのようなメカニズムで誘起されるのかについて常温での非凍結結晶を用いた解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

前年度前期は実験および出張を行えず、残余が生じた。
今年度はリモートでの解析実験も視野に入れ、構造解析実験の環境整備とともに解析技術の高度化、単純化を目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Kings' College London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Kings' College London
  • [学会発表] 甘味タンパク質ソーマチンのpH変動に伴う構造変化と熱安定性に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      横井 朱里、桝田 哲哉、三上 文三、谷 史人
    • 学会等名
      日本食品科学工学会、関西支部大会
  • [学会発表] 呈味物質に対するヒト腸管内分泌細胞の応答性評価2020

    • 著者名/発表者名
      手島 和裕、桝田 哲哉、谷 史人
    • 学会等名
      日本食品科学工学会、関西支部大会

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公開日: 2021-12-27  

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