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2021 年度 実施状況報告書

構造解析を基盤とした低利用植物タンパク質の機能性強化と食品素材への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K05875
研究機関龍谷大学

研究代表者

桝田 哲哉  龍谷大学, 農学部, 教授 (80311744)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード甘味タンパク質 / 熱安定性 / pH / リシン残基 / 温度因子
研究実績の概要

甘味タンパク質ソーマチンはショ等に比べモル比で10万倍と非常に強い甘味を呈するノンカロリー甘味料であるが、甘味発現に必須な構造的特性については未だ明らかとなっておらず、高分解能X線解析を行い、水素原子を含めた詳細な構造特性を明らかにし、更なるソーマチンの高甘味度化を達成できれば、新規なタンパク質性甘味料の創出に繋がるロールモデルとなり得る。しかしながら、ソーマチンは中性及び塩基性条件下で加熱を施すと急激に変性し甘味を消失する一方で、酸性条件下では、加熱処理に対して比較的安定であり、凝集体を形成せず、甘味が持続する。そこで酸性条件下における特徴的な構造要因を見出すため、pH 4.0における結晶を作製し、X線結晶構造解析に供し、原子レベルでの構造情報を得ることを試みた。また同時にpH 6.0および、pH 8.0の結晶構造解析を行い、pH 4.0における構造との比較を行った。次にpH 4.0、6.0、8.0における融解温度を、示差走査蛍光法を用いて検討した。その結果、pH 4.0では、融解温度はpH 6.0と比べ低く、かつ構造全体の温度因子もpH 6.0の場合よりも高い値を示した。しかしながら、いくつかのリシン残基ではpHが低下するにつれて、その温度因子が相対的に減少していた。 以上のことより、pH 4.0では、全体的な構造は柔軟になるが、いくつかのリシン残基では、相対的な柔軟性が低下していた。したがって、相対的なリシン残基の柔軟性の低下が、熱凝集を防ぎ、甘味を維持する上で重要な役割を果たす可能性が提起された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸性条件での構造解析に成功した。中性、塩基性条件下での構造との比較により、安定性に寄与する構造要因を見出すことができたため。

今後の研究の推進方策

本研究から得られた結果をもとに更に原子レベルでの解析を進め、ソーマチンの熱安定性や、熱凝集に寄与する構造要因を明らかにし、その他多くの食品タンパク質や低利用植物タンパク質に対しても、安定性や凝集性をコントールできる手法を構築することで、新たな機能性を賦与させ、新規な食品素材の開発に繋げたい。

次年度使用額が生じた理由

蔓延防止が発令されたため出張実験を見送ったため残余が生じた。
リモートでの構造解析実験の環境整備を進め、解析技術の高度化、単純化を目指す。さらに、キャピラリやHAG装置を用いた非凍結結晶での解析を推進する。

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公開日: 2022-12-28  

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