研究課題/領域番号 |
20K05879
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
寺崎 将 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10391195)
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研究分担者 |
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
武藤 倫弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30392335)
高橋 真美 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (90214973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フコキサンチン / フコキサンチノール / カロテノイド / 膵癌 / 癌化学予防 / 癌幹細胞 / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
食品や食品由来成分は膵癌予防にとって極めて有望な候補であるが、腫瘍微小環境を標的とした研究はほとんど進んでいない。本研究では、強力な抗癌作用を有するカロテノイドの一つFucoxanthin (Fx)による腫瘍微小環境形成抑制効果が膵臓で見られるか明らかにすることを目指した。マウス及びハムスターの同種同所移植膵癌モデルは、天然物や薬剤の抗がん作用を調べる上で適したモデルである。そこで、分担研究者より、マウス及びハムスターの膵癌組織より樹立した複数の膵癌細胞をご供与いただき、Fxの活性代謝物Fucoxanthinol (FxOH)に対して最もapoptosis誘導効果を持つ株の選定を行った。また、それらの細胞のFxOHによるapoptosis誘導作用機序の解明も試みた。また、ヒト膵癌細胞に対するFxOHの効果についても併せて検討を行った。その結果、FxOHに対して感受性の強いマウス及びハムスター膵癌細胞を見出し、それらの細胞に対するFxOHによるapooptosis誘導効果を解明した (Terasaki et al. Cancer Genomics and Proteomics 18(2), 133-146, 2021; Terasaki et al. Cancer Genomics and Proteomics In press)。これらの知見は、今後、膵癌モデル動物に対するFxの効果を明らかにする上の基礎資料となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度には、FxOHに対して、最もapoptosisを引き起こすマウス膵癌細胞株を選定でき、マウス膵癌KMPC44細胞に対するapoptosis誘導効果とその作用機序を明らかにした (Terasaki et al. Cancer Genomics and Proteomics 18(2), 133-146, 2021)。また、FxOHによるヒト大腸癌PANC-1細胞に対する効果についても報告した (Terasaki et al. Nutrition and Cancer 16, 1-16, 2021)。さらに、Fxによるがん予防効果についての関連知見を1報発表した (Terasaki et al. Anticancer Research 41(3), 1299-1305, 2021)。 FxOHに対して、最もapoptosisを引き起こすハムスター膵癌細胞株を選定でき、ハムスター膵癌HaPC-5細胞に対するapoptosis誘導効果とその作用機序を明らかにした (Terasaki et al. Cancer Genomics and Proteomics In press (次年度実績報告書でご報告する))。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に絞り込んだマウス及びハムスター膵癌細胞を、それぞれマウス及びハムスターの膵臓に接種して同種同所移植モデルを作製し、Fxを投与した時の腫瘍微小環境へもたらす効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由: 2020年度に行ったin vitro実験は、2021年度の動物実験の予備実験的に行った。2021年度は、動物実験に多くの経費を用いるため、前年度の研究費の一部を繰り越すこととした。 使用計画: 主にFxを投与する膵がんモデルマウスの飼育関連費、及び解析の器具・試薬へ前年度と今年度の物品費を使用する予定である。
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