研究課題/領域番号 |
20K05881
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
安田 伸 東海大学, 農学部, 教授 (10512923)
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研究分担者 |
小野 政輝 東海大学, 農学部, 教授 (60177269)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 硫酸化 / フェノール性硫酸体 / 代謝物 / 合成 / 機能性評価 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、硫酸化代謝物の合成法の開発と、硫酸化代謝物の生理機能の有無や前駆体との活性差異を試験管ならびに培養細胞レベルで定量的に明らかにすることを目的としている。今年度は、下記の研究実績を得ることができた。 既存のチロシン硫酸体(tyrosine O-sulfate)合成法を利用して、解熱鎮痛薬であるacetaminophen(N-acetyl-paminophenol;APAP)を濃硫酸と反応させることでAPAP硫酸体(acetaminophen O-sulfate;APAP-S)の合成と分離精製が可能か検証を行った。APAP はチロシン同様に単純なモノフェノール構造を有し、体内では硫酸化されるため選択した。その結果、1 g のAPAPから91.1 mg の生成物が結晶として得られ、モル換算で 5.11%の収率を得た。1H-NMRスペクトル測定によりAPAP-Sの各プロトンに由来するシグナルが認められ、生成物はAPAP-Sであることが支持された。さらにUV 吸収スペクトルの極大吸収波長における吸光度より、標品を基準とした際のAPAP-S生成物は97.0%の純度であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、硫酸化代謝物合成法の開発と機能性試験を4年間の計画内で行うこととしている。本年度は合成法の開発を推進し、新規にacetaminophen O-sulfateの合成を試み、研究成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
様々な硫酸化代謝物の生理機能の有無の評価や前駆体との活性差異の比較評価を長期に亘り実施する必要がある。今後は、硫酸化代謝物が有する機能性について抗酸化作用や免疫調節作用に着目して調査を行っていく。さらに、硫酸化代謝物合成における効率の良い合成法の開発を継続して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度には概ね予定通りの使用額であった。 次年度使用が生じた研究費(171,316円)については、物品費のうち消耗品として一般試薬類、ガラス、プラスチック器具類ほか、細胞培養用の培地などの購入を予定している。なお、1品若しくは1式の価格が50万円以上の物品の購入は現在予定していない。
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