• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

硫酸化代謝の生理的意義に関する研究:フェノール性硫酸体の合成と機能評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K05881
研究機関東海大学

研究代表者

安田 伸  東海大学, 農学部, 教授 (10512923)

研究分担者 小野 政輝  東海大学, 農学部, 教授 (60177269)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード硫酸化 / フェノール性硫酸体 / 代謝物 / 合成 / 機能性評価
研究実績の概要

本研究課題は、硫酸化代謝物の合成法の開発と、硫酸化代謝物の生理機能の有無や前駆体との活性差異を試験管ならびに培養細胞レベルで定量的に明らかにすることを目的としている。今年度は、下記の研究実績を得ることができた。
Acetaminophen (APAP)およびp-aminophenol (p-AP)は、単純モノフェノール構造を有する類似化合物であり、薬物代謝の観点から硫酸転移酵素により硫酸化されて硫酸体となる。硫酸化は、一般に生体内物質および生体外異物の不活性化ならびに排泄を担うと考えられている。本研究では、APAPとp-APのO-硫酸体であるAPAPSとp-APSの抗酸化活性を調べ、それらの非硫酸体それぞれとの間で活性を比較した。その結果、APAPSはAPAPの約126分の1に相当する低い抗酸化活性を示した。一方、p-APSは非硫酸体であるp-APと同程度の強い活性を示した。次に、活性型ヒト顆粒球様好中球モデル細胞を用いて、細胞のO2-ラジカル産生に及ぼすこれら化合物の抑制作用を調べた。その結果、ここでも同様の傾向が得られ、とくにp-APSはp-APと同程度の活性を示した。複数の他の類似化合物を用いて構造活性相関を検証した結果、APAPSの「アセトアミド基」よりもp-APSの「アミノ基」が高い活性に寄与していた。以上より、活性部位となる「アミノ基」を有するフェノール性化合物においては、硫酸化が必ずしも抗酸化活性を低下させるとは限らない場合があることを初めて見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、硫酸化代謝物合成法の開発と機能性試験を4年間の計画内で行うこととしている。前年度までに合成したacetaminophen O-sulfateを用いて、本年度は新たに活性試験を実施し、研究成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

様々な硫酸化代謝物の生理機能の有無の評価や前駆体との活性差異の比較評価を長期に亘り実施する必要がある。硫酸化代謝物が有する機能性について抗酸化作用の面のみならず、今後は免疫調節作用等にも着目して調査を行っていく必要がある。さらに、硫酸化代謝物合成における効率の良い合成法の開発やHPLC分析条件の検討を継続して行っていく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度には概ね予定通りの使用額であった。
次年度使用が生じた研究費(270,576円)については、物品費のうち消耗品として一般試薬類、ガラス、プラスチック器具類ほか、細胞培養用の培地などの購入を予定している。なお、1品若しくは1式の価格が50万円以上の物品の購入は現在予定していない。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] The University of Toledo(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      The University of Toledo
  • [雑誌論文] 高速液体クロマトグラフィーを用いたアセトアミノフェンO-硫酸体とチロシンO-硫酸体のUV検出による測定法2023

    • 著者名/発表者名
      森田千紘, 元山優作, 谷口玲央真, 上田裕人, 木下英樹, 小野政輝, 黒木勝久, 榊原陽一, 水光正仁, 安田伸
    • 雑誌名

      東海大学紀要農学部

      巻: 42 ページ: 1-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Investigation of radical scavenging effects of acetaminophen, <i>p</i>-aminophenol and their <i>O</i><i>-</i>sulfated conjugates2022

    • 著者名/発表者名
      Morita Chihiro、Tokunaga Yuki、Ueda Yuto、Ono Masateru、Kinoshita Hideki、Kurogi Katsuhisa、Sakakibara Yoichi、Suiko Masahito、Liu Ming-Cheh、Yasuda Shin
    • 雑誌名

      The Journal of Toxicological Sciences

      巻: 47 ページ: 421~428

    • DOI

      10.2131/jts.47.421

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヒトマクロファージ細胞モデルを用いた貪食作用に及ぼす尿毒素インドキシル硫酸の影響2022

    • 著者名/発表者名
      安田伸, 堤秀平, 森田千紘, 岩本若菜, 上田裕人, 木下英樹, 小野政輝, 黒木勝久, 榊原陽一, 水光正仁.
    • 学会等名
      第59回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] Acetaminophen、p-Aminophenolとそれら硫酸体の抗酸化活性の比較評価2022

    • 著者名/発表者名
      森田千紘, 德永祐希, 上田裕人, 木下英樹, 小野政輝, 黒木勝久, 榊原陽一, 水光正仁, 安田伸
    • 学会等名
      第59回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] 937ヒト分化マクロファージの細胞内酸化レベルと貪食能に及ぼす硫酸化代謝物Indoxyl Sulfateの影響2022

    • 著者名/発表者名
      岩本若菜, 森田千紘, 瀬尾優太, 後藤優貴, 上田裕人, 平野将司, 小野政輝, 木下英樹, 黒木勝久, 榊原陽一, 水光正仁, 安田伸
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度西日本支部大会
  • [学会発表] Acetaminophen、p-AminophenolとそれらのO-硫酸体の抗酸化活性の比較2022

    • 著者名/発表者名
      森田千紘, 德永祐希, 谷口玲央真, 元山優作, 岩本若菜, 上田裕人, 小野政輝, 木下英樹, 黒木勝久, 榊原陽一, 水光正仁, 安田伸
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度西日本支部大会
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      https://sites.google.com/view/shokuki2525

  • [備考] 大学のホームページ ニュース掲載

    • URL

      https://www.u-tokai.ac.jp/news-campus/245852/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi