食生活や生活習慣の変化により糖尿病の患者数は世界的に増大しており、患者の多くは、インスリン抵抗性を特徴とする2型糖尿病である。我々はこれまで、16 kDaのジャポニカ米胚乳アルブミン (REA) が、健常ラットにおいて、グルコースを摂取させた場合にも、食後の血糖値の上昇を抑制することを明らかとしている。REAは、消化過程で、14 kDaの難消化性高分子ペプチド (HMP)と2 kDa以下の低分子ペプチド (LMP) に分解され、HMPが食物繊維様にグルコースを吸着し、LMPがグルコーストランスポーターの発現を抑制することにより、小腸でのグルコース吸収を抑制すると考えられる。しかし、REAの糖尿病の治療に対する効果は不明である。そこで、REAとLMPがインクレチン分泌促進効果を示すかについてin vitroにて検討した。その結果、REAおよびLMPはともに、コントロールと比較して、有意にGLP-1の分泌を増加させた。次に、2型糖尿病モデルラットを用いて、REAの抗糖尿病効果について検討した。4週間連日、REAを経口投与後、経口グルコース負荷時における血糖値とインスリン値を測定した。空腹時血糖値とインスリン値からは、インスリン抵抗性のモデル評価指標であるHOMA-IRと、β細胞機能のモデル評価指標であるHOMA-B%を算出した。また、脂質代謝に関わる評価指標として、血中コレステロール値および血中トリグリセリド値を測定した。さらに、長期的な血糖値の評価指標として、糖化ヘモグロビン (HbA1c) 値を測定した。その結果、コントロール群と比較し、REA群の血糖値、インスリン値、HOMA-IR、HOMA-B%、コレステロール値、トリグリセリド値にほとんど差は見られなかったが、HbA1c値については、コントロール群と比較し、Jp-REA群の値が低かった。
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