今後の研究の推進方策 |
前年度までにGBAの活性を高めたものは、ステロイド配糖体とイソフラボン配糖体であることが明らかになった。これらがGBA活性を誘導した理由としては以下の2つの仮説が考えられる。1つ目は細胞膜上の受容体に作用する場合で2つ目はエンドサイトーシスなどで細胞内に取り込まれ分子シャペロンとして作用する場合である。ほとんどのステロイド受容体は細胞の核に位置しているが、さまざまなステロイド受容体の小さなサブセット(約5%)が原形質膜に局在している。さらに、選択的に膜局在化するステロイドホルモンの受容体が存在し、原形質膜の細胞シグナル伝達機構と相互作用して膜での開始応答を促進する。ジオスゲニンの受容体の1, 25D3-膜結合型迅速応答ステロイド結合タンパク質(1,25D3-membrane-associated, rapid response steroid-binding protein;1,25D3-MARRS)は、細胞増殖、分化、アポトーシスに関与する20)。1,25D3-MARRSのリガンドである1,25-ジヒドロキシビタミンD3(活性型ビタミンD)はGBAの遺伝子であるklothoの発現を上昇させる。また、GBAは小胞体を通過する際に、本酵素と可逆的に相互作用する低分子化合物があると立体構造を安定化させ、早期分解を防ぎ、リソソームコンパートメントへ正しく輸送されることが報告されている。GBAの認識部位はコリアジャポニンで2箇所、ジオスシンで1箇所あることから、これら化合物はGBAのシャペロンとなる可能性がある。平成4年度からは細胞表面のステロイド受容体とシャペロン効果について検討を行う。
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