研究実績の概要 |
今年度は、抗IZUMO重鎖抗体を提示した菌体と蛍光標識されたIZUMOを混合後、セルソーターを用いて蛍光標識された菌体を分別する手順で、ターゲット分子による重鎖抗体提示菌体の分子選別のモデル系構築を進めた。セルソーターにて選別するまでの混合洗浄操作などの条件、選別における条件を検討したが、良い未提示菌との選別条件は設定できなかった。そのため、プロモーターの変更、分泌シグナルの変更、重鎖抗体とソーティングシグナルとのリンカー配列の変更など、ベクター構成の検討を進めている。並行して、細胞表層への固定に用いるSortase 認識配列の検討を行うために、ブレビバチルス菌由来Sortaseの調製と機能解析を行なった。調製の際は黄色ブドウ球菌由来Sortaseの機能解析報告を参考に、N側領域を欠失させた変異体(Sortase Δ1-39)も調製した。ソーティングシグナルモチーフとしてLPQTGの配列を組み込んだ一次基質とSortaseを混合、保温し、電気泳動した。一次基質の消費量やC末ペプチドを欠失した一次基質量、アシル酵素中間体量を電気泳動後の染色結果から確認し、Sortase活性の指標とした。その結果、SortaseのN末端を欠失することにより活性が上昇し、活性に重要と推定される94位ヒスチジン残基、155位システイン残基をアラニンに置換すると活性が低下した。合わせて、ソーティングシグナルモチーフ配列として、LPQTGの配列以外にLPKTG,LPNTG, LPNTAの配列を含む一次基質を調製し、Sortaseが反応を進行させる上で有利な基質配列の調査を行った。
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