研究課題/領域番号 |
20K05896
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小林 史幸 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (50460001)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酵素タンパク質 / 殺菌 / 二酸化炭素マイクロバブル |
研究実績の概要 |
40、45および50 ℃での二酸化炭素マイクロバブル(CO2MB、MB40、MB45およびMB50)ならびに80 ℃で加熱処理(H80)したS. pastorianusの生菌数は検出不可となり、30 ℃での二酸化炭素マイクロバブル(MB35)処理後の生菌数は2 log減少した。35 ℃以上でのCO2MBによりS. pastorianusは細胞膜疎水性度の上昇、細胞内pHの低下およびミトコンドリア膜電位の減少を生じた。さらに、40 ℃以上でのCO2MBによりS. pastorianusの細胞膜流動性が変化し、核酸およびタンパク質を漏出した。一方、S. pastorianusの酸化ストレスは低温でのCO2MB (MB)により増加したが、加温により減少し、アルカリフォスファターゼ活性は35 ℃でのCO2MBにより高まったが、40 ℃以上で失活した。また、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により未処理およびMB以外で不溶化を確認したタンパク質の1つであるglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenaseは、MB35およびMB40で活性化したがMB45、MB50およびH80で失活した。貯蔵試験において、MB45、MB50およびH80の生存数は5および25℃で貯蔵3週間不検出のままであった。一方、MB40の生存数は5 ℃での貯蔵中不検出のままであったが、25 ℃では徐々に増加した。また、MB35の生存数は5 ℃での貯蔵中に約2 log減少したが、25 ℃では徐々に上昇した。以上の結果から、CO2MBによるS. pastorianusの損傷の種類は温度により異なり、不可逆的殺菌には45 ℃以上で生じた損傷が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標としていたCO2MBの影響を受けるS. pastorianus細胞内の酵素タンパク質を特定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
S. pastorianusおよびその他の微生物の核酸関連物質に対するCO2MBの影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため学会がweb方式に変わり、出張がなかった。 これまで研究自体は順調に進んでいるので、成果を公表するために使用する予定である。
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