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2021 年度 実施状況報告書

低加圧二酸化炭素マイクロバブルによる殺菌におけるアポトーシス誘導の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K05896
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

小林 史幸  日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (50460001)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード大腸菌 / 殺菌 / 二酸化炭素マイクロバブル
研究実績の概要

低温(10℃)での二酸化炭素マイクロバブル(CO2MB)により処理したEscherichia coliの生存数を至適培地を用いた測定により2 hで約6オーダー失活すること確認した。加えて、食塩を加えた至適培地および最小培地を用いた測定により形成したコロニー数は至適培地を用いた測定よりも少なかったことから、CO2MB処理によりE. coliは細胞膜の損傷を生じたことが認められた。CO2MB処理によるE. coliの細胞膜流動性の変化は1,6-diphenyl-1,3,5-hexatriene (DPH)および1-anilino-8-naphthalene sulfonate (ANS)を用いた蛍光分析により5 minで、N,N,N-trimethyl-4-(6-phenyl-1,3,5-hexatrien-1-yl)phenylammonium p-toluenesulfonate (TMA-DPH)では処理時間に伴いそれぞれ生じたが、SDS-PAGEにより細胞膜タンパク質への影響は確認できなかった。さらに、CO2MB処理によりE. coliの細胞内外のpHは5 minで著しく低下しており、DPHおよびANSを用いた蛍光分析との相関性が認められた。加えて、CO2MB処理によるE. coli細胞からの核酸およびタンパク質の漏出は処理時間に伴い増加しており、TMA-DPHを用いた蛍光分析との相関性が認められた。よって、CO2MB処理によるE. coliの細胞内外の物質移動は細胞膜損傷の程度に伴うことが示唆された。
また、CO2MB処理前後でE. coli細胞からのタンパク質の回収率およびフェノール・クロロホルム抽出によるDNAの回収率は変わらなかったが、キットを用いた抽出によるDNAの回収率は処理時間に伴い減少した。よって、CO2MB処理のE. coli細胞内への影響が示唆された。
比較のため、CO2MB処理後と同じ細胞外pHに調節したE. coli懸濁液を窒素MB処理した際に、生存数の減少はほとんど生じなかったが、細胞膜流動性の変化、細胞内酸性化、DNA回収率の低下および溶存酸素濃度の低下はCO2MB処理と同様に生じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

加温しない状態でのCO2MBが微生物細胞に与える影響について確認することができた。

今後の研究の推進方策

CO2MBによる微生物細胞内の核酸関連物質およびタンパク質への影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究は概ね順調に進んだが、コロナ禍のため学会発表における旅費を使用することが無かった。
翌年は最終年度ということで消耗品費や研究成果を公表するための論文校閲代などに利用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Determination of the Lethal Injury on the Inactivation of Saccharomyces pastorianus Cells by Low-pressure Carbon Dioxide Microbubbles2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Fumiyuki、Odake Sachiko
    • 雑誌名

      Current Microbiology

      巻: 79 ページ: 120

    • DOI

      10.1007/s00284-022-02817-5

    • 査読あり
  • [学会発表] ファインバブルの食品・飲料の殺菌・酵素失活への応用2022

    • 著者名/発表者名
      小林史幸
    • 学会等名
      進化するファインバブル技術と応用展開:最近の化学工学講習会70。化学工学会関東支部
    • 招待講演
  • [図書] 進化するファインバブル技術と応用展開。第16章 ファインバブルの食品・飲料の殺菌・酵素失活への応用2022

    • 著者名/発表者名
      小林史幸(共著)
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      化学工学会
    • ISBN
      978-4-86693-592-8
  • [図書] マイクロバブル・ナノバブルの技術と市場 2021。第8章 二酸化炭素ファインバブルによる食品の殺菌・酵素失活2021

    • 著者名/発表者名
      小林史幸(共著)
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1608-6

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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