研究実績の概要 |
2020年度は、先ずは多種多様な連続相、分散相成分ならびに乳化剤を用いてエマルションを形成させることで新規な物性を有するエマルションの作成を目指し、エマルション作成条件の検討を第一に行った。連続相にキサンタンガム(0.1, 0.16, 0.3, 0.4 wt%)およびアラビアガム(4.8, 10, 15.5, 19 wt%)を添加した1.0 wt%デカグリセリンモノエステル水溶液を連続相、15種の香気成分(Log Pow:0.21~4.38)を溶解したキャノーラ油を分散相とし、分散相含有率10 wt%、平均液滴径5 μmの単分散O/Wエマルションをサンプルとした。各サンプルから経時的にヘッドスペース中の香気成分を吸着剤(Tenax TA)に採取してガスクロマトグラフによって香気成分濃度測定し、香気成分放出速度ならびに平衡時濃度を算出し検討を行った。その結果、いずれのサンプルにおいてもO/Wエマルションからの香気成分の放出速度および平衡時濃度と香気成分の分配率との間に相関があることが示された。また、O/Wエマルションからの香気成分放出挙動には連続相粘度依存性があり、粘度上昇に伴う香気成分の放出速度および平衡時濃度の減少率も分配率と相関があることが示された。 また、エマルションの連続相に寒天(0.5, 1.0, 1.5, 2.0%)を加え、ゲル化させたときの香気成分放出挙動についても同様に検討を行った。その結果、添加した寒天濃度が高いほど、香気成分放出速度は増加し、分配率の低い香気成分ほど寒天濃度の増加に伴う、放出速度は速くなる傾向があった。 今後は、さらにエマルション連続相に添加する成分について検討を行うとともに、エマルションの物性等に及ぼす影響について検討をおこなう予定にしている。
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