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2020 年度 実施状況報告書

新規物性を有するエマルション食品の構造と内在成分放出挙動の相関

研究課題

研究課題/領域番号 20K05926
研究機関九州大学

研究代表者

井倉 則之  九州大学, 農学研究院, 教授 (30260722)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードエマルション / 食品 / 香気 / テクスチャー
研究実績の概要

2020年度は、先ずは多種多様な連続相、分散相成分ならびに乳化剤を用いてエマルションを形成させることで新規な物性を有するエマルションの作成を目指し、エマルション作成条件の検討を第一に行った。連続相にキサンタンガム(0.1, 0.16, 0.3, 0.4 wt%)およびアラビアガム(4.8, 10, 15.5, 19 wt%)を添加した1.0 wt%デカグリセリンモノエステル水溶液を連続相、15種の香気成分(Log Pow:0.21~4.38)を溶解したキャノーラ油を分散相とし、分散相含有率10 wt%、平均液滴径5 μmの単分散O/Wエマルションをサンプルとした。各サンプルから経時的にヘッドスペース中の香気成分を吸着剤(Tenax TA)に採取してガスクロマトグラフによって香気成分濃度測定し、香気成分放出速度ならびに平衡時濃度を算出し検討を行った。その結果、いずれのサンプルにおいてもO/Wエマルションからの香気成分の放出速度および平衡時濃度と香気成分の分配率との間に相関があることが示された。また、O/Wエマルションからの香気成分放出挙動には連続相粘度依存性があり、粘度上昇に伴う香気成分の放出速度および平衡時濃度の減少率も分配率と相関があることが示された。
また、エマルションの連続相に寒天(0.5, 1.0, 1.5, 2.0%)を加え、ゲル化させたときの香気成分放出挙動についても同様に検討を行った。その結果、添加した寒天濃度が高いほど、香気成分放出速度は増加し、分配率の低い香気成分ほど寒天濃度の増加に伴う、放出速度は速くなる傾向があった。
今後は、さらにエマルション連続相に添加する成分について検討を行うとともに、エマルションの物性等に及ぼす影響について検討をおこなう予定にしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エマルション作成において、連続相への添加多糖類として、キサンタンガム、アラビアゴム、寒天など多種の多糖類についてその添加による香気成分放出挙動への影響について詳細に検討することができた。また、寒天についてはゲル化することによる物性の変化についても検討を行うことができた。キサンタンガムおよびアラビアゴムは増粘剤として、濃度を変えて添加した結果、香気放出挙動に及ぼす連続相粘度の影響について明らかにすることができ、さらに、添加した香気成分の分配率と放出挙動との相関についても明らかにすることができた。
寒天の添加については、寒天添加の有無による影響や添加した寒天濃度による香気成分放出挙動の変化についても明らかにすることができた。また、現在、界面活性剤の影響や連続相へのデンプンの添加による影響などについても測定を進めている。これらのことから、概ね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

2020年度に得られた結果を基に、エマルションからの香気成分放出挙動だけでなく、エマルションの粘度変化やエマルションゲルの物性変化についても検討を行う。またエマルションの組み合わせは多岐にわたるため、2020年度に引き続き、エマルション連続相への添加物(デンプンやアルギン酸ナトリウムなど)の影響、界面活性剤にタンパク質を用いた場合の物性変化に関する影響について検討をすすめる。デンプンに関しては、デンプンの由来によってその糊化したときの液(糊液)の物性が異なることが知られている。そこで、由来の異なるデンプンがどのような影響を与えるのかを検討する。さらにデンプン糊液は熱履歴の影響を受けることも知られている。そこで、熱履歴がエマルションゲルやエマルション溶液にどのような影響を与え、その物性や香気成分放出挙動がどのように変化するのかについても検討を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] O/Wエマルションからの香気成分放出挙動に連続相粘度が及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      田中将太、野田智子、パクジンヒョン、井倉則之
    • 学会等名
      日本食品科学工学会 令和2年度 西日本支部大会
  • [学会発表] 分散相含有率および液滴径がエマルションゲルの物性に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      吉原綾乃、小樵侑奈、坂元渚、井倉則之
    • 学会等名
      日本食品科学工学会 令和2年度 西日本支部大会

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公開日: 2021-12-27  

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