研究課題
本年度は、穀物由来の食物繊維として知られる2種類の難消化性多糖(βグルカンおよびアラビノキシラン)に着目し、マウスの短鎖脂肪酸産生および腸管制御性T細胞への影響を検討した。βグルカンやアラビノキシランはいずれも酪酸産生に関与する腸内細菌を増加させ、腸管の酪酸濃度を増加させた。また酪酸への影響と相関して、腸管制御性T細胞の増加が顕著にみられた。昨年度は、制御性T細胞誘導能の異なる多糖について、炎症性腸疾患の予防作用があるか検討すべく、トリニトロベンゼンスルホン酸を皮膚感作・腸注することで、炎症性腸疾患モデルマウスを作成した。本年度もこのモデルを作成し、βグルカンを摂餌させたところ、コントロール群と比較して炎症の抑制がみられた。またアラビノキシランについては、Rag1に欠損マウスを用いた慢性腸炎モデルを作成し摂餌させたところ、コントロールと比較して炎症の抑制がみられ、T細胞からのTNFalphaの産生が抑制されていた。以上のことから、穀物由来の難消化性多糖の摂取は、酪酸産生と制御性T細胞誘導を介した腸炎発症予防作用があることが期待された。
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