研究課題/領域番号 |
20K05932
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
五十嵐 庸 城西大学, 薬学部, 准教授 (00277815)
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研究分担者 |
長岡 功 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (60164399)
鈴木 香 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90631929)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軟骨細胞 / 変形性関節症 / グルコサミン / サーチュイン / p53 |
研究実績の概要 |
超高齢化社会の日本において、運動器の加齢関連障害の予防は重要な命題である。その中でも変形性関節症(OA)は、関節軟骨がさまざまな要因で変成し、関節の変形を生じて疼痛や機能障害などをおこす疾患で、加齢とともに増加し、我が国では1,000万人以上の患者がいると推定されている。現在、OAの保存的療法としては非ステロイド性抗炎症薬などによる薬物療法や運動療法などが行われている。そこで、これまでOAに対する機能性食品であるグルコサミン(GlcN)の作用に着目し、研究を進めている。 研究代表者らは、すでに軟骨細胞にGlcNを作用させるとサーチュイン(SIRT)1の発現が亢進することを明らかにしている。また、OA患者の軟骨細胞では健常人と比較してSIRT1タンパク質が減少していることなど、SIRT1とOAの関連が注目されている。そのため、軟骨細胞においてGlcNが長寿遺伝子としてSIRT1発現を亢進して、SIRT1の標的タンパク質を脱アセチル化することによりその機能を調節し、その結果として軟骨保護作用を発揮するのではないか、という仮説のもと、研究を開始した。そこで、まず軟骨細胞において、GlcNにより脱アセチル化されるSIRT1標的タンパク質の探索を行った。その結果、がん抑制タンパク質と知られるp53が同定された。現在、p53の脱アセチル化を介したGlcNの新規生理作用の解明を進めている。また、p53以外にもFoxO1などのいくつかのタンパク質が候補として挙がってきた。そこで、FoxO1の脱アセチル化におけるGlcNの機能解析を行ったところ、通常のルートではない可能性が出てきた。現在、その詳細を検討しているが、難航中である。今後も、その詳細を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大により、所属大学の方針として初年度夏期休暇明けまでウェットの実験を全て停止させられたため、5ヶ月以上にわたって全く実験研究を行うことができなかった。そのため、進捗状況としては遅れている。また、そのために次年度への延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、軟骨細胞において、GlcNにより脱アセチル化されるSIRT1標的タンパク質の候補として挙がってきたタンパク質の詳細を明らかにすることを推進する。その中でもFoxO1に着目し、研究を進める。このFoxO1が本当にGlcNにより脱アセチル化されるSIRT1標的タンパク質なのかをSIRT1の阻害剤などを使用することにより決定する。また、この標的タンパク質として同定されたp53の脱アセチル化を介したGlcNの新規生理作用の解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響により、大学の指示で一定期間実験を行うことができなかったため、一部を次年度に繰り越した。
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