• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

配糖体化合物など天然素材由来機能成分の高効率精製法開発ならびに健康機能性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K05941
研究機関福井県立大学

研究代表者

高橋 正和  福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80315837)

研究分担者 片野 肇  福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50264685)
神戸 大朋  京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (90303875)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード溶解度分別法 / 有機溶媒抽出 / サイコサポニン / 大豆サポニン / ソバ殻抽出物 / γ-オリザノール
研究実績の概要

これまでに溶解度分別法を利用して柴胡粉末からサイコサポニン配糖体の効率的精製法開発を検討し、柴胡粉末メタノール抽出物より特定分子種(サイコサポニンa, c)の選択的濃縮に成功した。ただし回収率に課題が残ったことから、まずメタノール以外の有機溶媒で柴胡粉末抽出の追加検討を行ったが、大きな改善は得られなかった。今後は、我々が大豆サポニン(亜鉛トランスポーターZIP4発現増強活性を示す)について開発した「ホウ砂を用いた高効率精製法」の適用が期待される、cis-diol構造を糖鎖に持つ配糖体化合物について検討するのが適切と考えられた。
一方、昨年度検討を延期した有用素材である、ソバ殻のアルコール抽出物粉末(強いZIP4発現増強活性を示す)について、まず活性本体の推定を行うため、C18逆相HPLC(水-アセトニトリル系, gradient溶出)(検出器:UV-VIS)にて分画した。多数のピークが検出されたが、濃縮乾固後にDMSOに溶解してZIP4発現増強活性を検討したところ、活性は特定画分ではなく、多数の回収画分に広く認められた。また、回収画分は乾固後に水-アルコール混合溶媒への溶解度低下を示した。ソバ殻にはフェノール酸類やフラボノイド化合物のほか、プロアントシアニジンポリマー(縮合性タンニン)が含まれていることから、濃縮乾固時に重合物を形成している可能性が考えられた。このため活性成分に重合物が含まれる可能性があり、本研究にて高効率精製法開発の対象とするにはハードルの高い素材、と推定された。
また、大豆サポニンやソバ殻抽出物のように顕著なZIP4発現増強活性を示す天然物には、消化管からの亜鉛取込み増強効果が期待され、日本人の潜在的な亜鉛欠乏改善に役立つと期待される。そこで手元の天然物素材を対象に検討したところ、玄米ヌカ成分であるγ-オリザノールにZIP4発現増強活性が見いだされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究計画は、R2年度に感染防止対策を目的とする研究活動制限を大きく受け、計画全体が遅れている。しかし、R3年度では玄米ヌカ成分であるγ-オリザノールにZIP4発現増強活性を見出すことができた。オリザノールは玄米ヌカ部分に豊富な健康成分であり、植物ステロールやその前駆体のフェルラ酸エステルである。このため、酸性条件下ではエステルの加水分解が懸念されるが、予備検討では市販ヌカ漬け(乳酸菌発酵食品)においても、γ-オリザノールが多量に検出されており、玄米だけでなくヌカ漬けにもZIP4発現増強活性が期待された。γ-オリザノールは配糖体ではないが、医薬品にも承認されている機能成分であり、高効率精製法の開発対象とするのは意義がある。
一方、サイコサポニン、ソバ殻抽出物に関する高効率精製法開発に関しては難航が予想される。ソバ殻抽出物について検討を続けるには、精製時にBATなどの抗酸化剤を添加する必要性が考えられ、実験条件の再現性に懸念がある。またサイコサポニンは大豆サポニンとは異なってcis-diol構造が少なく、我々が大豆サポニンで開発した「ホウ砂を用いた高効率精製法」が使えないため、素材変更を検討する必要があると考えられる。

今後の研究の推進方策

R4年度は、効率良く成果を上げるため、我々が大豆サポニンについて開発した「ホウ砂を用いた高効率精製法」の適用が期待される、cis-diol構造を糖鎖に持つ配糖体化合物について検討する。また、ホウ砂による高効率精製法では水-有機混合溶媒による溶解度分別に加えて、pH制御が錯体形成とその溶解に影響することから、糖鎖構造にウロン酸を含む天然化合物が良い候補になると考えられ、いくつかの標品について、予備検討を開始している。

次年度使用額が生じた理由

原因の1つには、R2年度において感染防止対策による研究活動制限を大きく受けたことで、計画全体が遅れていることがある。また、高効率精製法の開発は想定通りには進まないことがあり、これまでは小スケールでの予備検討を重ねながら慎重に進めてきた。
以上の理由から、年度末に無理に予算執行せず、翌年の追込みにあてるために繰越することにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] お米の機能性・利用性に関する研究開発 ―福井県産米の可能性をひろげる―2021

    • 著者名/発表者名
      高橋正和、三浦孝太郎
    • 雑誌名

      FOOD Style 21

      巻: 25 ページ: 23-26

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi