研究課題/領域番号 |
20K05941
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
高橋 正和 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80315837)
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研究分担者 |
片野 肇 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50264685)
神戸 大朋 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (90303875)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グリチルリチン / 溶解度分別 / ホウ酸ナトリウム / オリザノール / アセトニトリル / 亜鉛トランスポーター / メタレーション |
研究実績の概要 |
甘草の配糖体機能成分グリチルリチン(GL)について高い精製度と回収率を目標に、簡便精製法開発を継続した。GLは水への溶解性は低いがホウ砂水溶液には容易に溶解し、さらに酸性にすると再沈殿する。これを利用して甘草粉末メタノール抽出物(画分A;GL純度8.5%)をホウ砂水溶液と希塩酸で処理し、高極性不純物を除いて画分B(純度31%、回収率94%)を得た。次に低極性不純物を除去するためSep-Pak C18固相抽出と逆相分取HPLCで純度90%以上への精製を達成した。しかし固相抽出とカラム精製は回収率を10%に低下させるため、甘草粉末の抽出段階で低極性不純物を減らすべく、アンモニア水抽出物(画分Ⅰ;純度6.7%)を検討した。画分Ⅰは低極性不純物が少なく、さらにホウ砂水溶液と希塩酸処理で高極性不純物を除去することにより、カラムを使わずに画分Ⅱ(純度70%、回収率70%)を簡便に得ることに成功した。 またγ-オリザノール(OZ)は玄米に含まれる植物ステロールや前駆体のフェルラ酸エステルであり、複数分子種の混合物である。OZは脂質異常症改善作用を示す健康機能成分であるが、分子種ごとの機能解析は進んでいない。我々は主要4成分(oz1~4)を含む米ヌカ由来OZ標品についてアセトニトリル(AN)への溶解性を検討した。30mgのOZ標品を10mLのANに混合すると約70%のみ溶解して無色溶液を生じ、上澄みに水酸化テトラブチルアンモニウムを加えるとフェルラ酸のプロトン解離に伴って黄色に変化した。上澄みに純水を加えて回収した沈殿は、oz1含量が増加しoz3とoz4は顕著に減少していた。この操作を繰返してoz1とoz2のみのOZ試料の調製に成功した。 さらに初期分泌経路における酵素分子の亜鉛メタレーションと活性化プロセスにおいて、特定亜鉛トランスポーターが必須な生理機能を示す事例について解析した。
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