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2022 年度 実施状況報告書

没食子酸によるエピジェネティック調節機構とそれによる抗高血糖作用の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K05942
研究機関高崎健康福祉大学

研究代表者

田中 祐司  高崎健康福祉大学, 薬学部, 准教授 (90453422)

研究分担者 大日方 英  群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50332557)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードKDM2A / リボソームRNA / 没食子酸 / 糖代謝
研究実績の概要

前年度までの解析で、肝臓がん細胞株HepG2でも、没食子酸(GA)処理によりKDM2A依存的なrRNA転写抑制が誘導された事から、以前に乳がん細胞株MCF-7で見られた機序がHepG2細胞でも存在すると考えた。そこで、HepG2細胞でKDM2A依存的な制御を受ける新規糖代謝関連遺伝子の同定とその解析を進めた。①GA処理でKDM2A依存的制御を受ける遺伝子候補として前年度抽出したNFkBIA, SLC4A2に加え、計6遺伝子を新たに同定し、KDM2A依存的制御機構の解析を行った。これらの遺伝子発現は、GAにより減少するが、KDM2AKD、AMPK活性阻害剤Compound C、ヒストン脱メチル化の阻害作用を発揮できる、ジメチルコハク酸(DMS)で減少が緩和された。よって、これらの遺伝子はKDM2Aにより制御されるが、その機序としてrRNA転写制御と同様、AMPK活性とヒストン脱メチル化が必要である可能性が考えられた。②遺伝子上の制御を解析する為、遺伝子領域上のKDM2A結合領域をChIP法により検討した。その結果、概ね遺伝子の転写開始点付近に結合がみられると考えられた。現在はKDM2A基質のヒストンH3K36me2量のKDM2A依存的変動の検討を進めている。③②の結果から、DMSにより候補遺伝子の調節が変化する事が分かったため、GAによる代謝産物変動を解析(研究分担者に依頼)した。KDM2A依存的制御を受ける濃度・処理時間でのみ解析を行なった。現在取得データの解析中である。④グリセロールリン酸シャトル阻害剤iGP処理は、rRNA転写抑制ではGA処理と類似していた。そこで、①で同定したKDM2A依存的制御を受ける遺伝子候補がiGPで制御されるかを検討したが、1遺伝子のみ制御された。よって、iGPによるKDM2Aを介した調節は異なる点があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大学業務などが増えた為。

今後の研究の推進方策

前年度までに、研究目標の1つである没食子酸によるKDM2A依存的rRNA転写制御の誘導機序、没食子酸誘導体による調節の可能性については一定の結論を得た。
前年度は、没食子酸によりKDM2A依存的に制御を受け、糖代謝に関連する遺伝子候補を6つ同定できたので、このKDM2A依存的制御・機構の解析を進め、没食子酸・KDM2Aによる糖代謝制御機構の理解の一助としたい。この機序による抗高血糖への作用は、研究期間内に終了できない可能性があるが、可能な限り進めたい。
また、没食子酸によるKDM2A活性の誘導機序の仮説の1つにグリセロールリン酸シャトル阻害を考えていたが、前年度の解析からは、没食子酸によるKDM2A活性誘導とはrRNA転写と一部の遺伝子への制御については同様の反応だが、反応が異なる遺伝子も存在する事が分かった。よって、没食子酸による誘導とグリセロールリン酸シャトル阻害による誘導は同一でない可能性が高くなった。とはいえ、グリセロールリン酸シャトル阻害によりKDM2A活性が誘導される事を新たに見出したことになったため、この点の解析も進めたい。
既に没食子酸による抗高血糖作用は報告されているものの、その機序については不明な点が残されているため、抗高血糖作用や糖質制御について、新規標的遺伝子制御を介した機序を提唱できるよう研究を進展させたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度に解析しなければならない実験が残った為。残額は次年度これらの実験に消耗品費として使用する予定。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] PHF8はHP1γとKDM2Aの相互作用を阻害し、rRNA転写を調節する2022

    • 著者名/発表者名
      常岡 誠,岡本健吾,田中祐司
    • 学会等名
      第40回 染色体ワークショップ・第20回 核ダイナミクス研究会
  • [学会発表] KDM2A依存的なrRNA転写抑制はメトホルミンや没食子酸誘導体により誘導される2022

    • 著者名/発表者名
      田中祐司,常岡誠
    • 学会等名
      日本薬学会第143回年会
  • [備考] 高崎健康福祉大学 教員紹介

    • URL

      https://research.takasaki-u.ac.jp/Main.php?action=profile&type=detail&tchCd=0000001120

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公開日: 2023-12-25  

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