研究課題/領域番号 |
20K05943
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
奥平 准之 帝京大学, 医学部, 助教 (10635585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LINE-1 / retrotransposition / resveratrol / Sirtuin6 / PPARα |
研究実績の概要 |
Long Interspersed Element-1(LINE-1以下L1)は、発癌や自己免疫疾患の発症と密接に関係している。私達は、レスベラトロール(resveratrol:RV)が再現性良く加熱食品中に含まれる発癌物質であるHCAs(以下HCAs:heterocyclic amines)のL1-RTP (retrotransposition:RTP)誘導作用を抑制することを見出した。本年度は、この分子メカニズムについて解析を行った。培養細胞の実験において、siRNAや免疫沈降実験結果からいくつかの標的遺伝子を見出した。中でも長寿遺伝子の一つである、Sirtuin6 (SIRT6)はL1の構成タンパクの1つであるORF1と結合し、RVのL1-RTP抑制機序に関与することが示唆された。RVは、SIRT6の発現を上昇させ、ORF1と結合し、L1-RTP誘導機序に必要なp38活性化経路やその下流の転写因子であるCREB (cAMP response element binding protein:CREB)のリン酸化を抑制することでL1機能を抑制することが培養細胞の実験から示唆された。SIRT6の上流では、RVの受容体であるPPARα(peroxisome proliferator-activated receptor:PPAR)がRVのL1-RTP機序に関与することも明らかにした。RVは、HCAsだけでなく、自己免疫疾患発症に関与するTh17細胞誘導化合物であるFICZのL1-RTP作用も抑制することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度に行う予定のRVのL1-RTP抑制機構の解明に関して順調に進んでいる。L1、SIRTフ ァミリー、PPARαの3つの相互関係を明らかにした。L1のトランスジェニックマウスに関しては、遺伝子組換え申請の承認をいただき、動物実験計画を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
RVとL1の関連性を強く示唆するために、マウスでの実験を計画している。マウスでのRVのL1に対する効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
20年度は、所属機関が変わり、研究が予定よりも進まなかった。21年度は、論文発表を予定しており、英文校正や投稿費用に研究費を使用する。
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