今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究でオレガノ,ベーコン,再仕込み醤油などの匂い成分に食塩水摂取抑制物質が含まれていることを明らかにし,その活性成分の同定もかなりのペースで進んでいる.本年度は以下の観点より研究を進捗させていきたい. 匂い成分の作用メカニズムの解析:免疫組織化学的手法を用い,体液の浸透圧の中心的な監視装置である感覚性脳室周囲器官(sCVOs) 脳弓下器官 (SFO) 終盤血管器官(OVLT), SFOにある細胞集団から連絡を受ける特定の脳領域である OVLT, 正中視索前野 (MnPO), 室傍核 (PVN), 視索上核 (SON),(Matsuda et al. 2017 Nat Neurosci 20, 2, 230) さらに塩味嗜好と嗅覚刺激のいずれにも深い関連のある扁桃体内側核(MeA), 扁桃体中心核 (CeA), 分界条床核,など体液中の電解質調節に関与する脳領域と塩味の嗜好発現に関する領域に着目し,塩味摂取と匂い提示によりFos 発現が変化する部位を明らかにする.さらにこれらの中枢の食塩調節作用を持つ遺伝子であるオキシトシンーオキシトシン受容体系,レニンーアンジオテンシン系などに関与する受容体及びリガンドの遺伝子発現を定量PCRあるいはElisaで解析する.これらのアプローチによりにおい物質による減塩メカニズムの解明に挑む.とりわけベーコン燻煙臭では,オレガノなどで見られる食塩水摂取低下と水の代償的摂取増加パターンが見られないことからそのメカニズムの違いを明らかにしたい. それに加え,以下の点を検討したい.オレガノの活性成分であるCarvacrol analoguesを用い,食塩水摂取低下作用の構造活性相関を検討する.再仕込み醤油,ベーコンなどのにおい成分の活性成分を明らかにする.ナトリウム欠乏食を与えたより食塩水の嗜好が高い動物モデルを用いて活性の確認を行う.
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