研究課題/領域番号 |
20K05946
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
津田 孝範 中部大学, 応用生物学部, 教授 (90281568)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食品因子 |
研究実績の概要 |
これまでに多様な研究発表があるように、運動は代謝変動を引き起こし、様々な恩恵を全身にもたらすことが知られている。これまでは、運動によりマイオカインと総称される骨格筋からのホルモン様の生理活性物質が分泌され、このシグナルが多用な作用をもたらすとして種々の研究が進められてきた。一方、白色脂肪細胞が運動の効果・恩恵に果たす役割は論じられてこなかった。最近になり運動により誘発されるアディポカインが明らかにされ、運動による肥満や血糖値コントロールの説明になり得ることが示された。さらに運動による骨格筋からのマイオカインもしくは代謝物質がアディポカインの分泌を刺激したり何らかの代謝変動に関わることが報告されている。この背景を踏まえて本研究では、このアディポカインの分泌促進作用と関連する肥満予防作用を明らかにし、新たな肥満予防介入法の科学基盤を提示することを目的とした。昨年度の結果に基づき、今年度は動物個体レベルでの検討からアディポカインの分泌促進作用に関わる候補食品由来因子Aを評価した。さらにAの投与は内因性の因子であるBの上昇を見出しているため、Bによるアディポカインの分泌刺激についても検討した。実験動物としては、マウスを用いてAを投与後、経時的に血中のアディポカイン濃度を測定した。その結果、投与後比較的短い時間で有意な血中濃度の上昇が認められた。一方、Bについては、その投与により血中アディポカイン濃度に影響を与えなかった。しかしながら興味深いことにBに関しては、その投与により別の作用が得られ、この作用を介して肥満予防作用を発現できる可能性を示唆する結果が得られた。以上の点については、次年度引き続き検討を行い、動物個体での検証を進めながらも、必要に応じて細胞レベルでも検討し、本研究を完成させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物個体での評価により、成果が得られつつある。内因性の分子の直接投与は影響を与えなかったが、別の経路を介して肥満予防作用が得られる可能性が出てきた。これら点については、引き続き次年度に検討を行うことで成果が十分に得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
予想に反して内因性の分子の直接投与では、標的としているアディポカインの分泌刺激は得られず、若干の課題はあるものの、ほぼ予定通り進めることができているので、引きつづき計画に従い研究を進め、本研究を完成させる。具体的には被験物質の機序解明や、内因性の分子の投与による動物個体での作用を多面的に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響があり、2021年度に予定していた研究員の雇用と、県内県外への出張が困難となったこと、消耗品のキャンペーン時購入による値引きがあったため。 (使用計画) 2022年度は2021年度の予算と合わせて主に物品購入費用にあてる。
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