研究課題/領域番号 |
20K05947
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
畑 明寿 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (10433690)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 海藻 / ヒ素 / ノトバイオートマウス |
研究実績の概要 |
ヒ素はその化学形態により毒性が大きく異なり、無機ヒ素のように急性毒性や発がん性が問題となる化学形態がある一方、魚介類に豊富に含まれるアルセノベタ インのように人体に対して殆ど無害であるヒ素化合物もある。本研究のテーマである海藻に含まれる有機ヒ素化合物であるアルセノリピッドやアルセノシュガー も、それ自体は毒性が低いとされているが、体内で代謝される過程で有害性の高い化学形態に変化する可能性が示唆されている。しかしながらこれらヒ素化合物 の体内動態に関する知見が不足しているため、健康影響については評価が難しい段階にある。 この様な背景のもと、本研究は海藻中有機ヒ素の健康リスク評価に 必要な知見を提供するため、消化管内での海藻からの有機ヒ素溶出に注目した研究を実施している。本研究課題の申請に先立ち、我々が実施したin vitro(模擬 消化管環境における消化実験)及びin vivo(ボランティアでの海藻摂取実験)では、消化管内における海藻からのヒ素溶出量は腸内細菌叢の個人差に影響される 可能性が示唆された。そこで本課題では、ボランティアの腸内細菌叢を移植したマウス(ノトバイオートマウス)を用い、海藻中有機ヒ素溶出へのヒト腸内細菌の関与ならびに、そこに腸内細菌叢の個人差が影響するのか否かの検証、そしてヒ素溶出に寄与する細菌の解明を目標とした。 現在、研究環境の変化により進捗は遅れている。今年度は別研究で採取されたマウス糞便の残余検体を用いて、本研究に適した腸内細菌叢解析法、総ヒ素分析および化学形態別ヒ素分析法の検討を行った。また腸内細菌提供ボランティアの選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請当初は令和4年度で研究完了予定であったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によりボランティア実験や外部機関での分析作業が困難となったこと、そして自身の研究環境の変化により当初計画より大幅に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容と規模を現状に即した形へと調整し、研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主に従来購入した物品を利用して研究を行ったこと等で支出が抑えられ、次年度繰越金が生じた。
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