研究実績の概要 |
本研究では、マルチドメインで構成される糖転移酵素Rmar_0285およびFjoh_1408を材料とし、構造機能相関に関する研究を進めている。両酵素ともドメイン構成はN1-N2-N3-A-B-C-Dと予測され、これまでにRmar_0285のN3-A-B-Cの発現系を構築し、立体構造を決定している。本年度はRmar_0285 N3-A-B-Cをマルトテトラオースに作用させ、反応産物を経時的に集め1H-NMRによって解析した。その結果、経時的にα-1,6-グルコシド結合のシグナルが大きくなることから、Rmar_0285はマルトオリゴ糖に作用してα-1,6-グルコシドを生成させる酵素であることが明らかになった。 生成物の構造を決定するため、触媒残基の1つであるAsp563をAlaに置換した改変酵素Rmar_0285 N3-A-B-C D563Aを作製し、精製、結晶化を行った。触媒残基を改変していないRmar_0285 N3-A-B-Cをマルトテトラオースに作用させて得られた糖をRmar_0285 N3-A-B-C D563Aの結晶にソーキングし、結合した糖の構造を解析した。その結果、6(2)-α-マルトシルマルトトリオースという構造であると決定され、本結果より、Rmar_0285は分岐オリゴ糖を生成させる酵素であることを明らかにした。また、本酵素と関連する酵素の立体構造と機能についても解析を行った。 Rmar_0285およびFjoh_1408について、N末端側のドメインN1の発現系を構築した。ポリアクリルアミドゲルに澱粉を加え電気泳動を行ったところ、澱粉を加えていないゲルによる泳動と比較しRmar_0285 N1、Fjoh_1408 N1ともバンドがシフトしたことから、ドメインN1は糖結合能を有することを明らかにした。
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