研究課題
「FAB1による新生チューブリンのフォールディング」モデル仮説の検証のため,蛍光タグをつけたFAB1,PFD3,EB1bが共発現するライン〔FAB1-GFP/PFD3-TagRFP/EB1b-Cypet〕を作製し,三者のダイナミクスの観察における条件検討を行っている.また,精製FAB1と精製PFD1/2/3/4/5/6複合体と,PUREシステムを使ってin vitroで合成したチューブリン(蛍光標識する)を用意し,微小管重合反応を行い,微小管重合が促進されるか共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察と,微小管重合反応吸光度方によって確かめた.一方,FAB1に結合するモータータンパク質KINESIN12とFAB1の関係を調べるため,微小管標識タンパク質Cypet-TUB6と 2xCitrine-KINESIN12AとFAB1A-TagRFPとが共発現し,可視化できるライン〔2xCitrine-KINESIN12A/FAB1A-TagRFP/Cypet-TUB6〕を作製した.これを用いた動的な観察では,FAB1と KINESIN12の高頻度な共局在はみられなかった.この結果から,「KINESIN12は後期エンドソームの形成に必要かどうか」を検証する実験に切り替えた.KINESIN12AとKINESIN12BのダブルノックダウンのバックグラウンドでPI(3,5)P2を標識するラインを作製し観察すると,異常な根毛の膨張が起こり,酵素FAB1の産物であるPI(3,5)P2が細胞膜に局在できなくなっていることを確かめた.
2: おおむね順調に進展している
「FAB1による新生チューブリンのフォールディング」モデル仮説は,順調に証明していく過程にある.また,当初,「KINESIN12A/Bが,モータータンパク質として,微小管をレールにして,FAB1エンドソームを輸送する」と考え,その検証を予定していたが,この仮説が妥当でない可能性が出てきた.従って,目先を変えて,KINESIN12A/Bの発現抑制によって,FAB1やPI(3,5)P2はどのようになるかの検証を行った.この方向性の変更が功を奏し,KINESIN12が「正常な表層微小管の形成に必要であること」,「PI(3.5)P2の細胞膜への局在に必要であること」を発見した.
「FAB1が制御する微小管重合」の研究計画遂行のため,①〔FAB1-GFP/PFD3-TagRFP/EB1b-Cypet〕共発現ラインを使って,三者のダイナミクスを観察すると共に,FAB1特異的阻害剤であるYM201636の処理でPI(3,5)P2欠乏時の三者のダイナミクスを経時的に観察する.②〔FAB1-GFP/PFD3-TagRFP/EB1b-Cypet〕共発現ラインに,微小管重合阻害剤オリザリン処理をして微小管を断片化させてから,オリザリンを抜いた後,微小管の重合が再生する過程において,三者のダイナミクスを経時的に観察する.③精製FAB1と精製PFD1/2/3/4/5/6複合体の存在条件で,PUREシステムを使ってin vitroで合成したチューブリン(蛍光標識する)によって微小管重合反応を行い,微小管重合が促進されるか観察によって確かめる.さらに,「FAB1が制御する二次細胞壁成分の分泌」の研究計画遂行のため,④KINESIN12Aが,FAB1だけでなく,PI(3,5)P2とも結合するか調べるため,脂質-タンパク質結合アッセイであるリポソームアッセイを行う.
すべて 2020
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