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2021 年度 実施状況報告書

イネ交雑育種の遺伝変異拡大に直結する減数分裂時の乗換頻度改変

研究課題

研究課題/領域番号 20K05981
研究機関摂南大学

研究代表者

奥本 裕  摂南大学, 農学部, 教授 (90152438)

研究分担者 吉川 貴徳  京都大学, 農学研究科, 助教 (00721606)
牛島 智一  摂南大学, 農学部, 講師 (50815058)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードイネ / 減数分裂 / 乗換頻度 / 遺伝的変異
研究実績の概要

突然変系統M2世代を前年度モチ遺伝子ヘテロが確認された個体別に400系統を栽培した。重イオンビーム照射ではプロトン粒子200Gyと300Gyの2線量区を設けたが、300Gy照射区の種子稔性低下が大きく栽培途中で採種を断念した。残りの約400系統について、各系統から採種した20個体~30個体から500粒程度採種して脱穀し視認でウルチ粒の頻度を確認した。通常ならモチヘテロ個体の遺伝子内組換えで生じるウルチ粒は0~1粒程度であるので、4粒/500粒程度以上のウルチ粒の分離が観察された個体を組換えに関する突然変異個体として約13個体を選抜した。この中には、明らかにウルチ粒頻度の上昇に種子稔性低下が伴っているものが3割程度含まれていた。これらのウルチ粒の分離は種子稔性低下に伴うアウトクロスなのか、減数分裂の異常による稔性低下なのか、判断できなかった。
昨年度に減数分裂期の幼穂に塩ストレスを加えて発現変化する遺伝子群を解析した。この時期の塩ストレスによって組換え頻度が大きく上昇することから、塩ストレスによって発現変化する遺伝子を数個特定した。この中には塩ストレスで上昇する遺伝子群が含まれていたことから、減数分裂期の組換え頻度に直接影響を及ぼす遺伝子群の特定には、in situで確認する必要があると考えられた。また、塩ストレス下で発現変化した特異的な遺伝子に関しては、過剰発現およびノックアウトを作製して、遺伝子の機能と組換え価との関連を確認することとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

突然変異体のスクリーニングに関しては、高線量照射区で不稔個体が多くなりアウトクロスを遺伝子座内組換えと誤認する危険性が高いので、スクリーニングから除外することになったが、200Gy処理区でも期待以上の割合で組換え頻度に関する突然変異候補個体が確認できたので、スクリーニングの規模は結果的には適性であった。
RNA-seq解析で塩ストレス下で組換え頻度に影響を及ぼす可能性がある遺伝子の発現変化を調査した結果では、根部への塩ストレス処理8時間後のサンプルであったが幼穂でも塩ストレス関連の遺伝子群の発現上昇が顕著であった。これに対して、減数分裂期特異的に葯での発現が報告されている遺伝子には大きな発現量の変化が認めれなかった。このため、スト蓮関連遺伝子の葯内での発現が組換え頻度に影響を及ぼしている可能性を考慮して、in situ解析により減数分裂期の花粉母細胞での塩スト列関連遺伝子の発現を改めて確認する必要が生じた。

今後の研究の推進方策

突然変異個体の後代の花粉調査により、モチ遺伝子座内の組換え頻度の上昇を確認する。また、突然変異候補となった個体については、減数分裂期の遺伝子発現プルファイルを正常型個体の遺伝子発現プロファイルと比較する。
また、昨年度研究終了時点では実施できなかったin situ解析による、塩ストレス応答性遺伝子の葯内での発現を確認する。さらに、候補となった遺伝子については強発現個体、ノックアウト個体を作製して、減数分裂期の組換え頻度に関する突然変異の確認と同定を進める。

次年度使用額が生じた理由

前年度の実験開始時期がコロナ禍の影響で大幅に遅れ、前年度に予定していたRNA-seq解析のための試料の作成・調整が前年度内では実行できなかった。このため、前年度の予算の一部を繰り越して、本年度初頭にRNA-seq解析を実施したため。

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公開日: 2022-12-28  

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