21年度にウルチ粒の分離頻度が高い個体から個体別次代系統を育成し、系統内で分離するモチ遺伝子座に関してヘテロ個体を周辺にウルチ品種が栽植されていない環境で栽培した。この結果、ウルチ粒分離頻度が高い個体を乗換頻度に関する変異体候補として選抜した。22年度は、選抜した個体別系統15系統内に分離したヘテロ個体を用いて花粉分析を行った。この結果、ウルチ花粉の分離頻度が高い個体を2個体分離した系統を乗換頻度に関する突然系統として選抜することができた。
また、21年度に塩ストレス処理をした減数分裂期の頴花のRNA解析の結果、塩ストレス処理で発現量が上昇した1627遺伝子と低下した1116遺伝子は6クラスターを形成した。発現上昇したクラスターには膜貫通型のトランスポーターや花粉関連遺伝子群が含まれていた。発現低下したクラスターにはDNA切断修復やクロマチン関連の遺伝子群が含まれていた。減数分裂期の乗換への関与が判明している6遺伝子に関して塩ストレス処理による発現変化を確認した結果、大部分が塩ストレス処理下で発現低下する遺伝子であった。塩ストレス処理による発現上昇が顕著であった3遺伝子のうち、NAC-ドメインを有するOs11g0126900およびOs12g0123700の発現部位をin situで確認した結果、いずれも頴花では発現していたが葯や花粉での発現は認められなかった。これらの点を踏まえて22年度は、塩ストレス処理をした葯で発現する遺伝子と頴花特異的に発現する遺伝子とを識別するため、サンプリングした頴花を、葯を含まない先端部と葯を含む基部に分けてRNA解析を実施した。この結果、葯を含まない先端部では、塩ストレス処理で発現量が上昇した2283遺伝子と低下した1390遺伝子を同定した。また、葯でのみ発現量が変化したと考えられる遺伝子は上昇する1476遺伝子と低下する1085遺伝子であった
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