小課題1 各γサブユニット変異体におけるαサブユニットの状態の解析:小課題1は、αサブユニット特異的抗体を用いて各γサブユニット変異体背景で免疫沈降を行う事で、γサブユニット変異の影響でαサブユニットが単体で存在するか、3量体を形成しているかを明らかにする。令和5年度は、抗αサブユニット抗体を用いた実験で、γ3サブユニット変異体の種子が短くなる事が、αサブユニットとの結合が強固になっている事、野生型では分解されていることを見出した。また、γ4とγ5の変異体の解析を行った結果、これら変異体はGαの変異が遺伝的上位となり、Gタンパクシグナル経路で草丈を制御していることが明らかになった。また、これらの二重変異体を作成した結果、Gα変異よりもシビアな表現型となり、Gαとは一部独立に草丈をコントロールしていることも示唆された。これらの結果より、γ4とγ5は草丈に関してGαを介して冗長的に草丈をコントロールしているが、一部Gαを介さない経路でも草丈をコントロールする事を推測した。 小課題2 イネGタンパク質関連変異体の遺伝子単離:令和5年度は、Gタンパク質経路をコントロールする変異体について、形質転換による原因遺伝子の確認を行った。その結果、変異体に野生型遺伝子を導入した個体で表現型が復帰し、変異原因遺伝子である事が証明できた。 小課題3 新奇3量体Gタンパク質関連タンパク質のタンパク質相互作用解析:小課題2で新たに単離した候補遺伝子について、抗Gα抗体を用いて免疫沈降実験を昨年度に継続して行ったが、直接の相互作用は確認できなかった。 研究全体を通して、これまでに明らかになっていなかったヘテロ3量体タンパク質による種子と草丈の制御に関して明らかにすることができた。新奇変異体とGタンパク質の直接の関係については未解明だが、原因遺伝子が明らかになったことで今後研究が進むことに期待できる。
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