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2022 年度 実施状況報告書

植物の種間・倍数性間交雑において種子発育不全が誘発する子房落下現象の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K05988
研究機関大阪公立大学

研究代表者

手塚 孝弘  大阪公立大学, 大学院農学研究科, 講師 (20508808)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード種子発育不全 / 未熟果実脱離 / 種間交雑 / 倍数体間交雑 / 生殖隔離 / 遺伝解析 / タバコ
研究実績の概要

植物の種間交雑では種子発育不全などの生殖隔離が認められることが多く、交雑育種の妨げとなっている。タバコの種間交雑において、交雑組合せによって程度の異なる種子発育不全(タイプⅠおよびタイプⅡ種子発育不全)が生じることを見出している。タイプⅡ種子発育不全ではタイプⅠ種子発育不全よりも重度の症状が認められ、受精後発達中の子房の脱離が誘発される。これらの成果はFrontiers in Plant Science誌において論文として発表した。本年度は、これらの生殖隔離のメカニズムを解明するために次のような実験を行った。
1)種子発育不全が分離すると考えられる正逆F1雑種およびそれらに由来する2つのF2集団を用い、これらの各個体をタバコ栽培種と交雑することで遺伝解析を行った。種子発育不全の程度は子房脱離を指標として評価した。その結果、種子発育不全は量的形質であり、複数の遺伝子がかかわっていることが示唆された。正交雑では約2個、逆交雑では約9個の遺伝子が関与していることが示唆された。本成果は、日本育種学会において発表した。
2)植物の倍数性を操作するために、コルヒチン処理を実施した。Arabidopsis属の2倍体植物からは4倍体を得ることができた。しかし、新規に作出した4倍体を用いてさらにコルヒチン処理を実施したところ、倍加個体の生育が著しく阻害され、その後代を得ることはできなかった。
3)その他の生殖隔離に関する研究も進め、雑種弱勢の研究成果を論文としてPLoS ONE誌で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は種子発育不全および子房脱離について、遺伝解析を中心に実験を進めた。多数のF1およびF2植物を栽培・維持し、個体ごとにタバコ栽培種と複数回の交雑を行うことで各個体の表現型を判定する必要があるが、地道に交雑や観察の作業を続け着実に成果を出すことができている。したがって、本研究課題はおおむね順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

本研究で作成した分離集団のうち、まだ交雑を行っていない個体を用いて解析を行い、遺伝解析に使用する個体数を増やす予定である。遺伝解析では子房落下を指標として表現型を決定しているが、それが種子発育不全の程度ともリンクしていることを種子切片を用いた顕微鏡観察によって検証する。また、正逆F2分離集団を用いたQTL解析を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

分離集団のすべての個体について遺伝解析を実施できたわけではなく、来年度に解析を持ち越すことになったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Parental genome imbalance causes hybrid seed lethality as well as ovary abscission in interspecific and interploidy crosses in Nicotiana2022

    • 著者名/発表者名
      Hai He, Kumi Sadahisa, Shuji Yokoi, Takahiro Tezuka
    • 雑誌名

      Frontiers in Plant Science

      巻: 13 ページ: 899206

    • DOI

      10.3389/fpls.2022.899206

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Capsicum annuum with causal allele of hybrid weakness is prevalent in Asia2022

    • 著者名/発表者名
      Kumpei Shiragaki, Shonosuke Seko, Shuji Yokoi, Takahiro Tezuka
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 ページ: e0271091

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0271091

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] タバコ異倍数性種間交雑に生じる種子発育不全および子房落下の遺伝学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      木田茉奈美・横井修司・手塚孝弘
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
  • [学会発表] タバコ種間交雑における雑種致死原因遺伝子HLA1の起源の探索2023

    • 著者名/発表者名
      西出七虹・横井修司・手塚孝弘
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
  • [学会発表] タバコ致死性種間交雑(Nicotiana amplexicaulis × N. tabacum)において高頻度で出現する生存雑種で見出された雑種致死原因遺伝子HLA1周辺領域の欠失2023

    • 著者名/発表者名
      永井翔大・松本果歩・川口謙二・横井修司・手塚孝弘
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
  • [備考] 遺伝育種学研究グループ | 大阪公立大学 農学部 | 大学院 農学研究科

    • URL

      https://www.omu.ac.jp/agri/breeding-genetics/

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公開日: 2023-12-25  

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