昨年度に引き続き、ポット試験で得られたデータと圃場試験で得られたデータを組み合わせた解析をおこなった。宮城県東北大学鹿島台圃場の水田-ダイズ輪作圃場と、福島県二本松市のソルガム連作圃場の土壌をポットに詰め、ソルガム(イネ科)とダイズそれぞれを栽培し、栽培前の土壌、ソルガム根およびダイズ根粒からDNAを抽出した。同様に、鹿島台圃場で栽培したダイズの根粒DNAを抽出した。rpoB遺伝子をターゲットとしたアンプリコンシーケンスを行い、rpoB遺伝子に基づいてBradyrhizobium属細菌の群集構造解析を行った。検出された配列を97.7% OTUとしてカウントし、α多様性の多様性指数を比較したところ、種の豊富さはソルガム根、土壌の順に高く、根粒はいずれも低い値であった。続いてβ多様性解析により群集構造の比較を行ったところ、ダイズ根粒のBradyrhizobium属細菌の組成は土壌の違いによらず近似していた。一方、土壌やソルガム根の群集構造は、まず使用した土壌の違いで大きく2つに分かれ、それぞれの中で土壌とソルガム根の群集構造に分かれていた。そのため、ダイズに根粒を形成するBradyrhizobium属細菌は土壌の種類に関わらずその一部がダイズに根粒を形成する一方で、ソルガム根に定着するBradyrhizobium属細菌は土壌の影響を受けやすいことが明らかになった。
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