異なる稈内炭水化物蓄積特性を有する遺伝子座を集積したピラミディング系統 (PL-BSUC11+prl5及びPL-BSUC11+PRL4) について、稈内の構造性及び非構造性炭水化物 (NSC) 蓄積特性及び倒伏抵抗性をコシヒカリと比較した。コシヒカリにおける第2節間の構造性炭水化物蓄積量は出穂以降ホロセルロース及びヘミセルロースが減少し、α-セルロースは出穂後2週目以降に減少した。PL-BSUC11+prl5はコシヒカリと比べて出穂後4-6週目において約20%高い構造性炭水化物蓄積量を示したが、PL-BSUC11+PRL4は同等の構造性炭水化物蓄積量を示した。また、2つのピラミディング系統は、コシヒカリと異なり出穂後4週目までα-セルロースを蓄積した。2つのピラミディング系統の基部節間のNSC蓄積量は出穂後4週目までコシヒカリと類似していたが、6週目にコシヒカリと比較してPL-BSUC11+prl5は3.0倍、PL-BSUC11+PRL4は2.4倍のNSCを再蓄積していた。倒伏抵抗性において、PL-BSUC11+prl5は出穂後2週目以降に基部節間の圧縮抵抗をコシヒカリよりも高く維持し、出穂後6週目には第2節間の挫折抵抗も高くした。一方でPL-BSUC11+PRL4は出穂後6週目にコシヒカリよりも高い基部節間の圧縮抵抗を示したが、第2節間の挫折抵抗は同等であった。下位部の押し倒し抵抗では両系統ともに有意に高い値を示したが、植物体角度ではPL-BSUC11+PRL4のみ有意に向上した。本研究の結果、BSUC11とprl5の集積では稈の炭水化物蓄積特性及び物理特性のおける集積効果が確認されたが、BSUC11とPRL4の集積ではBSUC11の機能が消失することが明らかになった。また集積による植物体角度への効果は他形質の変化が影響することが示唆された。
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