研究課題
CSS系統で見られる生育不良や稔実率の低下が導入遺伝子の効果であるのかを明らかにするために,ソルガムRbcSの発現量が多いSS系統を用いて,新たなCSS系統を3系統作出した.また,これまでソルガムRbcSの高発現には,Cabプロモーターを用いてきたが,新たにOsRbcS3プロモーターを用いてソルガムRbcSを高発現する系統を作出した.本年度はさらに,それらの系統とCSS系統を交配した後代からソルガムRbcSを高発現し,イネRbcSが欠損した系統を選抜した.ソルガムRbcSの102番目のLeu (イネではIle)のRubiscoの触媒速度を高める効果をを検証するために,ソルガムRbcSの102番目のLeuがIle (ソルガムL102I),イネRbcSの102番目のIleがLeu (イネI102L) となった変異型RbcSを発現する形質転換イネを作出した.Rubisco触媒特性の測定を行ったところ,102番目のLeuは触媒速度を増加させるが,その効果は限定的であることが分かった.ソルガムL102I系統,イネI102L系統はいずれも生育良好であり,稔実率の低下も見られなかったことから,これまで解析に用いてきたCSS系統の望ましくない表現型は導入遺伝子によるものではないことが示唆された.ソルガム以外のC4植物のRbcSについては,ネピアグラス,ギニアグラス,トウモロコシについてイネ完全置換系統を作出した.Rubiscoの酵素特性は解析中である.解析が終了していない系統もあるが,最も重要と考えていた102番目のLeuの効果については検証することができ,ある程度の触媒速度の促進効果があることを明らかにした.今後は,102番目のLeu以外の触媒速度の促進効果を持つアミノ酸の探索と効果の検証を進めていくつもりである.
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