研究実績の概要 |
ウンシュウミカン‘青島’を対象とし,2019年12月27日にGAを散布した。1本の樹を表(南側,FRONT)と裏(北側,BACK)に分け,各濃度(0,50,100 ppm)のGA溶液をそれぞれ散布した。散布はスプレーボトルを使い,葉の表と裏や枝全体に溶液がかかるように行った。また,2019年12月と2020年2月,3月に枝の採取を行った.花芽数調査は2020年4月に実施した.それぞれの区画から枝を3本選び,50 cm長あたりの旧葉,花芽,果実,新葉数を数えた。アミノ酸と糖の分析には凍結乾燥後の枝粉末10 mgを使用し,抽出・精製後,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析を行った。 4月27日に実施した花芽数調査では,旧葉に対する花芽数が表(南側),裏(北側)ともにGA濃度が高くなるにつれて減少していた。また,表側の方が裏側よりもGA濃度の増加に伴う花芽数の相対的減少が大きくみられた。枝中に含まれるアミノ酸含量は12月より2月,3月の方が高く,糖含量は12月より2月,3月の方が減少していた。しかし,いずれにしてもGA処理によるアミノ酸・糖の大きな変化はみられなかった。以上の結果から,今回の調査でもGAを散布した区画に翌春の着花数減少がみられ,以前の報告結果を支持する結果となった。 RNAseq解析の結果、5% FDRでコントロールと比較しGA処理の枝で発現に有意差がある遺伝子が91個見つかった。その中でも39遺伝子が有意に発現上昇し、52遺伝子が有意に発現減少していた。発現が上昇した遺伝子の中にはPEBPファミリータンパク質をコードする遺伝子や植物ホルモン応答性遺伝子等が確認された。一方、発現が減少していた遺伝子の中には糖の代謝関連酵素遺伝子等が確認された。
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