研究課題/領域番号 |
20K06019
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岡田 貴裕 佐賀大学, 医学部, 助教 (30584809)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 香気成分 / 配糖体 / UGT / 果実 / マンゴー |
研究実績の概要 |
前年度までに、マンゴーの果皮および果肉における香気配糖体の貯蔵量が登熟段階に応じて明確に変動することを明らかにしていた。また、トランスクリプトームデータを用いた検討から、その制御に2種類のUGT遺伝子が関与する可能性を見いだしていた。 令和4年度はUGT遺伝子配列情報の網羅的取得を目指し、ナノポアシークエンサー/イルミナシークエンサーを利用したアーウィン種マンゴーのゲノム解読、およびハイブリッド・デノボ・アセンブリによるドラフトゲノムデータの構築を実施した。遺伝子アノテーションの結果、本データから合計231種類のUGT遺伝子の配列情報を取得することができた。また、これらの遺伝子群の分子系統解析において、前年度に同定した2種類の香気関連UGTが近縁のクレードに分かれ、その基質特異性の差異を反映するようにモチーフの構成が明確に異なることを明らかにした。 さらに、ドラフトゲノムデータをリファレンスとしたRNA-Seq解析を実施し、香気配糖体の生成に関わるUGT遺伝子群の絞り込みを行った。これにより、上述の2つのクレードに属するUGT遺伝子群は、特に登熟初期から中期にかけての香気成分の配糖化に機能することが示唆された。さらに、近縁のクレードに属する4種類のUGT遺伝子群の転写レベルと香気貯蔵量にも明確な相関が認められたことから、これらが果実における香気成分の貯蔵量を協調的に制御していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とするUGT遺伝子の同定など概ね順調に計画を遂行できている。新たな候補遺伝子が見つかりより詳細な検討を行う必要が生じたため、研究期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
今回新たに推定されたUGTについて機能解析を実施する。またドラフトゲノムデータの精密化に取り組み、アーウィン種マンゴーゲノムにコードされる香気関連UGTの生物機能の理解・考察につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験方法について変更の必要があり研究期間を延長したため、経費の一部を次年度に使用することとした。
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