研究課題/領域番号 |
20K06023
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
塚崎 光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, グループ長 (30355622)
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研究分担者 |
奥 聡史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (20849161)
関根 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 研究員 (80823236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | タマネギ / 肥大 |
研究実績の概要 |
タマネギのりん茎肥大には、古くから日長が関与していることが知られており、特に日長に関しては、品種(群)によって肥大の引き金となる日長時間が異なり、それが早晩性に関わっていると考えられている。しかし、我々は、国内外の200を超える遺伝資源・品種の中から、4月中旬の定植後すぐに肥大を開始する「早期肥大群」(倒伏迄出葉数3枚程度)と、定植後通常に生育して肥大する「通常肥大群」(出葉数8枚程度)が、品種内で混在することを見出した。りん茎肥大には2つのFT遺伝子(AcFT1, AcFT4)が拮抗的に働くことが知られており、我々が見出した現象は、FTならびにFT関連遺伝子の発現が品種内で固定していない(個体間で異なる)可能性が示唆される。そこで、「早期肥大群」と「通常肥大群」を分離・育成して、両者のF2等を用いた遺伝解析により、早期肥大に関わるゲノム領域を明らかにすることを目的とする。 盛岡での春まき作型において、肥大特性が分離する秋まき極早生品種‘センチュリー2号’とこれから選抜して集団採種した「通常肥大群」を栽培し、継時的に生育調査を行った。また、早期肥大個体が肥大開始した定植3週後に、早期肥大群と通常肥大群の葉サンプルを採取して、RNAを抽出した。定法に従いRNAseqを行い、AcFT1およびAcFT4の発現量に違いがあることを確認した。遺伝解析用の材料として、早期肥大個体と通常肥大個体との交配により得たF1を栽培して母球を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肥大特性の異なる両群個体を用いたRNAseqにより、肥大に関わるAcFT遺伝子の発現量に違いがあることを確認できたものの、F1株の生育が遅れ自殖後代を得られなかった。このため、F2集団で多型解析可能なマーカーセットの構築は次年度実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
両群間のF1個体の自殖種子を得るとともに、F2集団を用いた多型解析とインキュベーター試験により肥大特性に関わるゲノム領域を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
タマネギには品種内多型が存在するため、F1の各個体についても遺伝子型が異なる。当初は、F2採種できたF1個体の遺伝子型から多型解析可能なマーカーセットを構築する予定であったが、F1個体の生育が不十分で採種できなかったことから、マーカーセットの構築を次年度実施することとした。
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