研究実績の概要 |
タマネギのりん茎肥大には、古くから日長が関与していることが知られている。特に日長に関しては、品種(群)によって肥大の引き金となる日長時間が異なり、それが早晩性に関わっていると考えられている。しかし、我々は、国内外の200を超える遺伝資源・品種の中から、4月中旬の定植後すぐに肥大を開始する「早期肥大群」(倒伏迄出葉数3枚程度)と、定植後通常に生育して肥大する「通常肥大群」(出葉数8枚程度)が、品種内で混在することを見出した。りん茎肥大には2つのFT遺伝子(AcFT1, AcFT4)が拮抗的に働くことが知られており、我々が見出した現象は、FTならびにFT関連遺伝子の発現が品種内で固定していない(個体間で異なる)可能性が示唆される。そこで、「早期肥大群」と「通常肥大群」を分離・育成して、遺伝解析により早期肥大に関わるゲノム領域を明らかにすることを目的とする。 盛岡での春まき作型において、肥大特性が分離する秋まき極早生品種‘センチュリー2号’とこれから選抜して集団採種した「通常肥大群」を栽培し、生育調査を行うとともに、2週間おきに葉身からRNAサンプルを得た。早期肥大個体と通常肥大個体との交配により得たF1を栽培し、花芽分化を確認した。
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