テンシオメーターに透明の塩ビ管を取り付けた測器を開発した。この測器は、ポーラスカップの周囲に透水性資材を充填して設置する。この状態の測器を模擬植物(根)とした。模擬植物(根)をテンシオメーターとして機能させつつ、テンシオメーターの測定限界に達してからはポーラスカップからの滲出水量を指標に土壌のマトリックポテンシャルを測定する。これにより、テンシオメーターの測定領域からpF4付近まで測定でき、テンシオメーターでは測定できなかった砂や礫でも測定できるようになった。また、土壌の種類に関わらず、カンキツが受けている乾燥ストレスをポーラスカップからの滲出水量で評価できることを示した。なお、ポーラスカップの周囲に充填する透水性資材は、水田土壌で唯一市販されている荒木田土とした。また、ポーラスカップからの滲出水量は透明塩ビ管内の水位低下量から算出する。 令和4年度は以下の点を明らかにした。ポーラスカップからの滲出水量と土壌のマトリックポテンシャルとの関係から、回帰式の切片をポーラスカップの空気侵入値(-50kPa)に固定し、ポーラスカップからの滲出水量から土壌のマトリックポテンシャルを算出する式を求めた。種々のカンキツ園地に模擬植物(根)を設置して測定した結果、土壌の種類に依存せずに土壌のマトリックポテンシャルが測定できることを示した。また、真砂土のカンキツ園地に荒木田土を充填し、土壌のマトリックポテンシャルを測定した結果、真砂土と荒木田土のマトリックポテンシャルはほぼ同じ値を示した。植物(カンキツ)は土壌のマトリックポテンシャルが高い場所から吸水するため、マトリックポテンシャルが同じになったと考えた。さらに、ポーラスカップ内の水と荒木田土との水の連続性が確保されたことにより、模擬植物(根)により土壌の種類に関わらずマトリックポテンシャルが測定できたと考えた
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