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2020 年度 実施状況報告書

セイヨウナシの周縁キメラ分離カルスを利用した果皮の全面赤着色メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06030
研究機関山形大学

研究代表者

池田 和生  山形大学, 農学部, 准教授 (80555269)

研究分担者 牛島 幸一郎  岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20379720)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードセイヨウナシ / 果皮色 / 組織培養 / ゲノーム解析
研究実績の概要

本年度は、(1)周縁キメラであるセイヨウナシ果実の果皮からL-1層のみを分離したカルスからシュートおよび根を再分化させ個体として独立させること目的として、材料となるカルスの作成と増殖および(2)周縁キメラ品種の果皮から脱分化させた赤着色カルスと非着色カルス間のゲノム上の相違点を探るゲノーム解析、を行った。(1)では、セイヨウナシ‘リーガル・レッド・コミス’の果皮培養を行い、次年度以降に計画している不定根再生またはシュート再分化のための培地組成の検討の実験に必要な数のカルスを準備することができた。一方、(2)では、赤着色(Red)カルスと非着色(Green)カルスからゲノムDNAを抽出し、次世代シークエンスに供した。両者間の1塩基変異の頻度の変化を調査し、LOH(loss of heterozygosity/ヘテロ接合性)の変異を探索した。その結果、非着色カルスでヘテロである1塩基変異が、赤着色カルスにおいてホモまたは消失箇所が集中している箇所があることが明らかとなった。そのLOHが集中している箇所はゲノム再編成が高いと考えられ、着色形質や着色に関与する二次代謝経路との関連性を調べる必要があると考えられた。また、LOHが集中している箇所以外にも赤着色カルスと非着色カルスに共通する1塩基変異が多い染色体が存在することも示されたことから、その染色体には大きな変異が存在する可能性が高いと考えられるが、着色カルスと非着色カルスに共通して変異が多く存在するため、直接着色変異に関与している可能性は前述のLOHが集中している箇所よりは低いものと考えられえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題は、周縁キメラであるセイヨウナシ果実の果皮からL-1層のみを分離したカルスからシュートおよび根を再分化させ個体として独立させることを試みる組織培養に関する実験と周縁キメラ品種の果皮から脱分化させた赤着色カルスと非着色カルス間の遺伝子の存在や発現の違いを見出す実験の2つの実験軸を有している。組織培養に関しては脱分化させたカルスから発根させるための培地の検討を行う予定にしており、そのための材料となるカルスの作成まで到達しており、おおむね順調に進展していると考えられる。また、赤着色カルスと非着色カルスを用いたゲノーム解析についても、1塩基変異の集中している箇所を新たに見出し、着色変異に関わる要因の一つとしての新たな知見を得ることができている。したがって、2つの実験軸ともにおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本課題の二つの実験軸の一つである組織培養の課題については、根の再分化を最初のターゲットとして培地組成の検討を行う。もう一つの課題であるL1層から分離した赤着色カルスと非着色カルスの遺伝子解析については、本年度の計画通りにトランスクリプトーム解析を行い、遺伝子発現が大きく異なる遺伝子の絞り込みを行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により出席予定の学会がオンライン開催となり,研究打ち合わせもオンラインで行ったため旅費を使用しなかった.
次年度の学会は現在のところハイブリッド開催が予定されており出席予定である.感染対策を十分に行った学会参加を遂行するために使用する計画である.
さらに最終年度に新たな実験を追加することも検討している.

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公開日: 2021-12-27  

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