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2021 年度 実施状況報告書

セイヨウナシの周縁キメラ分離カルスを利用した果皮の全面赤着色メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06030
研究機関山形大学

研究代表者

池田 和生  山形大学, 農学部, 准教授 (80555269)

研究分担者 牛島 幸一郎  岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20379720)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードセイヨウナシ / キメラ / 組織培養 / 次世代シークエンス
研究実績の概要

本年度は、(1)周縁キメラであるセイヨウナシ果実の果皮からL-1層のみを分離したカルスからシュートおよび根を再分化させ個体として独立させること目的として、前年度作成したカルスを材料として、カルスからの発根培養条件の検討(2)周縁キメラ品種の果皮から脱分化させた赤着色カルスと非着色カルスで発現している遺伝子についてトランスクリプトーム解析、を行った。(1)では、セイヨウナシ‘リーガル・レッド・コミス’の果皮培養からカルスを作成し、カルスからの発根に適した培養条件について基本培地およびオーキシン濃度を検討した。基本培地については、MS基本培地もしくは窒素濃度を半減させた1/2MS培地を検討した結果、継代回数が少ない段階ではMS培地と1/2MS培地のカルス生存率に差は認められなかった.しかしながら,継代3回目以降では基本培地はMS培地と比較して1/2MS培地のカルス生存率が高い傾向が見られた。これより,発根培養時のカルスの生存には培地の窒素濃度が低い方がよいと考えられた。一方、(2)では、赤着色(Red)カルスと非着色(Green)カルスからtotal RNAを抽出し、それぞれのカルスについて3サンプルずつ次世代シークエンスに供した結果、平均2000万リードのデータを得た。 ‘バートレット’のゲノム情報(GDR,www.rosaceae.org)を基にマッピングを行い,約3万3000遺伝子について遺伝子発現解析を行った。.赤着色(Red)カルスにおける遺伝子発現量が非着色(Green)カルスの4倍以上の遺伝子が約1700遺伝子,8倍以上の遺伝子が約600遺伝子、16倍以上の遺伝子が270遺伝子であることが明らかとなり、これらの遺伝子が赤着色形質に関与している可能性が高いと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題は、周縁キメラであるセイヨウナシ果実の果皮からL-1層のみを分離したカルスからシュートおよび根を再分化させ個体として独立させることを試みる組織培養に関する実験と周縁キメラ品種の果皮から脱分化させた赤着色カルスと非着色カルス間の遺伝子の存在や発現の違いを見出す実験の2つの実験軸を有している。組織培養に関しては脱分化させたカルスから発根させるための培地の検討を行い,発根には至らなかったものの,発根培養における基本培地において,通常のMS培地よりも窒素濃度が低い培地が発根培養のカルス生存率が高いことが明らかとなっている.したがって予想していていた結果とは異なるものであるが,新しい知見を得ることができたことより、おおむね順調に進展していると考えられる。また、赤着色カルスと非着色カルスを用いたトランスクリプトーム解析についても、赤着色カルスで発現量が大きくなっている遺伝子を検出しており、赤着色メカニズム解明に向けた新たな知見を得ることができている。したがって、2つの実験軸ともにおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本課題の二つの実験軸の一つである組織培養の課題については、根の再分化に加えて、不定胚再生のためのembryogenic カルス(EC)の作成に適した培地組成の検討を行う。もう一つの課題であるL1層から分離した赤着色カルスと非着色カルスの遺伝子解析については、昨年度から行っているトランスクリプトーム解析を継続して行い、初年度に行ったゲノーム解析の結果との融合により赤着色メカニズムの解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症対策に基づき、学会開催が延期および1年遅れのオンライン開催となったため旅費分を使用しなかった。その一部に関しては新たに次世代シークエンス解析を追加し、関連する研究をより加速させることに使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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