研究課題/領域番号 |
20K06033
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松原 陽一 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シソ科ハーブ / 混植 / バイオスティミュラント / 成長促進 / 2次代謝成分 / メタボローム / 遊離アミノ酸 |
研究実績の概要 |
令和2年度に、シソ科植物混植による植物体成長促進、混植による植物体2次代謝成分・遊離アミノ酸変動との関連を明らかにした。令和3年度は、シソ科植物の混植代替処理(2次代謝成分含有水抽出液、茎葉粉末処理)が混植に替わる手法として、数種野菜の成長、耐病性(根圏微生物変動解析含)に及ぼす影響を調査した。 イチゴ・メロンでは、シソ科植物7種(レモンバーム、オレガノ、セージ、ヒソップ、バジル、ペパーミント、大葉)茎葉水抽出液(10%, w/v)、茎葉パウダーの土壌処理(1, 2 g/個体:土壌鋤込を想定)により、植物体成長促進による地上部・地下部乾物重増大が確認された。この場合、増大程度にはシソ科植物の種間差異、処理濃度差がみられた。また、イチゴではシソ科植物2次代謝成分抽出液処理により炭疽病・萎黄病耐性が、メロンではつる割病耐性が確認され、この場合、シソ科植物処理区では根圏病原菌密度の低下がみられた。一方、シソ科植物混植代替処理(2次代謝成分抽出液・パウダー処理)による植物体代謝成分変動を解析(UPLC-MS/MS) したところ、イチゴ・メロンとも混植代替処理による数種2次代謝成分(シアニジン等のフラボノイド成分が主体)及び数種遊離アミノ酸(GABA、アスパラギン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン等)増大がみられた。また、シソ科大葉処理ではDPPHラジカル捕捉能の増大も確認され、シソ科植物含有抗酸化物質の外部投与による植物体内含有レベル増大が示唆された。これらの変動は、シソ科植物処理によるプライミングと携えられることから、今後はそれらのプライミング効果と植物成長・ストレス応答等との関連を検討する。以上のことから、シソ科植物を混植せずに混植と同等の成長促進(耐病性含)や植物体1次・2次代謝成分変動を誘導できる総合的成長改善法を確立できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナに関わる研究活動制限期が若干存在し、主要実験項目は概ね予定通り遂行できたが、各項目における処理区の規模を縮小した上での実施となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の研究では、シソ科植物を用いた新規成長改善法(2次代謝成分含有水抽出液・パウダー処理法)及びシソ科植物と菌根菌の併用処理が数種野菜成長(収量性・収穫物機能性成分、耐病性・プロテオーム解析を含めた高温ストレス耐性評価含)、植物代謝成分(1次・2次代謝成分)変動に及ぼす影響について調査する。これらにより、シソ科植物処理によるプライミング効果と成長改善(環境ストレス応答含)との関連性を明らかにし、新規成長改善法のバイオスティミュラントとしての応用を検討する。
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