研究課題/領域番号 |
20K06041
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
谷川 奈津 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (20355720)
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研究分担者 |
立澤 文見 岩手大学, 農学部, 教授 (30320576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ポリアシル化アントシアニン / 花色 / 青色化 |
研究実績の概要 |
青紫色花色のキキョウについてフラボノイド色素の分析を行い、4種類の既知のアントシアニン、4種類の既知のフラボン、およびクロロゲン酸とともに、ポリアシル化アントシアニンのdelphinidin 3-O-[6-O-(α-rhamnopyranosyl)-β-glucopyranoside]-7-O-[6-O-(4-O-(6-O-(4-O-(6-O-(4-O-(β-glucopyranosyl)-trans-caffeoyl)-β-glucopyranosyl)-trans-caffeoyl)-β-glucopyranosyl)-trans-caffeoyl)-β-glucopyranoside]を同定した。これは新規化合物であった。この新規アントシアニンは、青紫色のキキョウの主要色素であるプラチコニンよりも、さらに7位にカフェ酸が直鎖状に1つ多く結合しているアントシアニンであった。芳香族有機酸によるアントシアニンのポリアシル化には、アントシアニンに青色化や安定化をもたらす効果がある。そこで、芳香族有機酸の結合数がアントシアニンの青色化と安定化に及ぼす効果について調べるため、得られた新規ポリアシル化アントシアニンとプラチコニンについて、花弁搾汁と同じpHの弱酸性水溶液中における色と安定性の比較を行った。その結果、7位にカフェ酸が直鎖状に3分子結合しても、7位にカフェ酸が直鎖状に2分子結合するプラチコニンと比べて、さらなる青色化や色の安定化はなく、むしろ淡色化する傾向があることがみとめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画で研究対象としていた花き品目のうち、いくつかの品目において花色の再現実験に遅れが生じている。色素関連化合物の単離と同定については計画通りに進展した。
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今後の研究の推進方策 |
計画書に従い、in vitroにおいて、花の青色と同じ色と吸収スペクトルを再現できる条件を検討するとともに、アントシアニンの青色化や安定性の検証を進め、得られた新規成果について公表を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響等により、当初の計画より進行に遅れが生じている。次年度、研究の遂行および成果の公表のため、必要な試薬や器具の購入、論文投稿などの費用として有効に使用する。
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