研究実績の概要 |
レンゲ萎縮ウイルス(MDV) はナノウイルス科に属するDNAウイルスで,アブラムシによって永続的に伝搬され,マメ科植物の師部細胞内で増殖し,黄化萎縮症を引き起こす。MDVのゲノムは,サイズ約1,000 塩基で配列の異なる8 種の環状1本鎖DNA(-R, -S, -M, -C,-N, -U1, -U2, -U4)から成る分節ゲノムで,各DNAが個別にウイルス外殻に包まれる“多粒 子性ゲノム”構造を持つ(Sano ら,1998)。さらに,ウイルスゲノムに付随して複製するα-サテライトと呼ばれる寄生分子が4種類知られているが、その生物学的意義は不明である。本研究はウイルスとサテライトおよび宿主植物間の詳細な動態解析を通して,自然界におけるサテライトの付随がウイルス複製や病徴発現に及ぼす影響を解析するとともにウイルス分離株環及び異種ウイルス間の移行伝搬を検証することを目的とする。今年度までに③異種ナノウイルスであるバナナバンチ―トップウイルス沖縄分離雄株(BBTV-JN19)について初めて全ゲノム配列を決定し、併せて新規アルファサテライトJ1を同定した。BBTV-JN19はアブラムシ伝搬試験によりバナナ以外にショウガ科のゲットウにも全身感染することを確認し、MDVも月桃に全身感染することを確認したため現在混合感染したゲットウからJ1サテライトDNAがMDVの外被タンパクに包まれてマメアブラムシによって伝搬が起こるか確認中である。
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