本研究は、トマトに発現するレクチンの役割解明を通して耐病性品種の選抜や分子育種への目標となる知見の集積を目的として実施された。トマトにおいて、キチン結合性を示す二種のイソレクチンTL-FとTL-Lが同定された。本研究では第一に、TL-F遺伝子とTL-L遺伝子のトマト品種における分布を複数の固定品種において調べ、両遺伝子が対立遺伝子の関係にあることをホモ系統間の交配実験から示した。第二に、トマト小葉において傷害誘導性を示すTL-Lの抗生物活性を評価した。TL-L遺伝子の発現を抑制したトマトRNAi系統は、野生型に比べてBotrytis cinerea感染において病斑面積の有意な増加が観察された。
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