研究課題/領域番号 |
20K06060
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研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
光増 可奈子 尚絅大学, 生活科学部, 助教 (00711839)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | チラミン受容体 / 同定 / 機能解析 |
研究実績の概要 |
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)のチラミン受容体候補MiSER-2について、前年度に引き続き機能解析を進めた。MiSER-2安定発現CHO-K1細胞を用いた場合TA濃度依存的な応答が見られるが、未処理CHO-K1細胞ではチラミン応答は確認されなかった。チラミンのアンタゴニストであるヨヒンビンを同時に処理したところ、MiSER-2のチラミン応答はヨヒンビン濃度依存的に阻害された。これらのことから、MiSER-2がM. incognitaのチラミン受容体であることが証明された。M. incognitaで初めて生体アミン受容体を同定した報告となる。また、モデル線虫であるCaenorhabiditis elegansではSER-2以外のチラミン受容体も複数報告されていることから、M. incognitaにおける相同遺伝子を探索し、現在までに更に3種類のチラミン受容体相同遺伝子を単離している。これらについても機能解析を進め、種々の化合物を用いた活性物質のスクリーニングを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受容体候補の機能解析の際に、発現系の選定が必要となり、予定になかった検討事項が増えたことで進捗が遅れた。新型コロナ感染拡大の影響により、実験が実施できないために実験スケジュール自体を先送りしたり、実験消耗品や試薬の調達が滞るなどしたことや、所属機関における職務との両立に一時的な困難が生じ、前年度よりの遅れを取り戻すことなく、研究の進行が予定より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
新たに条件検討した培養細胞系を用いてTARの機能解析を引き続き進める。検出感度が著しく低いという問題に対しては、安定発現細胞を取得してアッセイに用いることで改善を図る。薬剤スクリーニングには既知の基本的な生体アミン受容体アゴニスト含め、手持ちの天然物由来化合物等を用いるとともに、市販の化合物ライブラリーを用い、応答が見られたら行動解析に用いる。また、行動解析からも双方向的に化合物スクリーニングを行い、個体レベルでも活性を示す化合物を探索する。新たに同定したM. incognitaのTAR候補配列についてもアッセイ系の構築及び化合物スクリーニングを進め、個体において観察された行動異常が、どのTARを介したシグナル伝達によって惹起されるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに解析してきた無脊椎動物生体アミン受容体とは異なり、機能解析系の感度が著しく低いことが明らかとなったことで、当初の予定にない条件検討事項が増えたため、M. incognitaのTARの機能解析系の完成が遅れた。そのため、機能解析がある程度進んでから実施するべき化合物スクリーニングやセンチュウの行動解析に必要な経費の支出が後ろ倒しになった。また、追加の機能解析を実施する際に必要な消耗品等の入荷が遅れるなどした分の支出を次年度に持ち越した。更に、学会等はオンライン参加となったので、旅費・交通費等の支出は無かった。これについては、今後研究成果を発表する際に使用する。
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