研究課題/領域番号 |
20K06061
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
長坂 幸吉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 研究領域長 (50355137)
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研究分担者 |
光永 貴之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (50569506)
有本 誠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (40803862) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二次寄生蜂 / バンカー法 / アブラムシ / アブラバチ / 天敵利用 / IPM |
研究実績の概要 |
1) 主要二次寄生蜂の中でAsaphes suspensus, Syrphophagus tachikawai, Dendrocerus carpenteri, D. laticeps, Alloxysta victrixの5種と主要一次寄生蜂5種(コレマンアブラバチ、ギフアブラバチ、ダイコンアブラバチ、ニホンアブラバチ、ナケルクロアブラバチ)の組み合わせについて、その適合性を実験室内で調査した。その際、一次寄生蜂の寄主となるアブラムシ種の影響を考慮するために、寄主が害虫アブラムシの場合とバンカー法で想定される代替寄主アブラムシの場合の両方について調べた。その結果、寄主アブラムシの影響は確認されなかった。また、外部寄生性二次寄生蜂(A. suspensus, D. carpenter, D. laticeps)は全ての一次寄生蜂に寄生可能であったが、内部寄生性二次寄生蜂はナケルクロアブラバチには寄生できなかった。ダイコンアブラバチには内部寄生性二次寄生蜂の中でS. tachikawaiは寄生可能であったが、A. victrixは寄生不可能であった。 2) 内部寄生性二次寄生蜂S. tachikawaiおよびA. victrixについて、ダイコンアブラバチおよびナケルクロアブラバチに対する寄生行動を観察した。その結果、S. tachikawaiはナケルクロアブラバチを雌成虫の寄主探索段階で寄主として認識できないが、その他の組み合わせではいずれも寄生が行われる事が明らかとなった。従って、A.victrixと一次寄生蜂の不適合性は寄生時の免疫システム等によるものであることが示唆された。 3) 施設圃場において、コレマンアブラバチおよびナケルクロアブラバチの混用バンカー上で、それぞれの種に寄生する二次寄生蜂種を観察したところ、実験室内の結果と同じ種構成であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の遅れを含めて、R3年度の研究計画はほぼ全て行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)モモアカアブラムシまたはワタアブラムシを一次寄生蜂の寄主とした場合の寄主適合性について一次寄生蜂側の5パターン(コレマンアブラバチ、ギフアブラバチ、ダイコンアブラバチ、ナケルクロアブラバチ、ニホンアブラバチ)と二次寄生蜂P. aphidisの組み合わせで、二次寄生蜂の寄主認識や寄生成功率を双眼実体顕微鏡下での行動観察及び行動観察で二次寄生蜂の寄生が確認された寄主の経時的な追跡調査等で比較する。 2) トウモロコシアブラムシを寄主とした場合についても1)と同様に一次寄生蜂側の5パターン(コレマンアブラバチ、ギフアブラバチ、ダイコンアブラバチ、ナケルクロアブラバチ、ニホンアブラバチ)と二次寄生蜂P. aphidisの組み合わせで上記と同様の実験を行う。得られた結果を比較することにより、一次寄生蜂の寄主となるアブラムシの種類が二次寄生蜂の寄生行動や寄生成功率等に影響を及ぼす可能性について検討を行う。 3) 2種の一次寄生蜂(コレマンアブラバチとナケルクロアブラバチ)が同所的に存在する場合の二次寄生蜂の選好性についてさらに検討を行う。具体的には、R3年度に確認した種構成だけではなく、それぞれの一次寄生蜂個体群からの二次寄生蜂の発生個体数の違いについても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ下において、契約職員の確保が遅れたこと、また、出張の制限があったことから、余剰が生じた。次年度の契約職員は確保済みであり、必要な調査出張も可能な見込みである。
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