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2022 年度 実施状況報告書

害虫選択的な幼若ホルモン拮抗阻害剤の創製と実用化に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K06063
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

古田 賢次郎  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (00575532)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード幼若ホルモン / アンタゴニスト / 昆虫成育制御剤
研究実績の概要

本研究は、昆虫の正常な成長に必須なホルモンである幼若ホルモン(JH)に着目し、農業害虫においてJHの機能を特異的に阻害するJHアンタゴニストを開発することを目的としている。
昨年度までの研究で、カイコに対して生物活性を示さないが、同じチョウ目害虫であるシロイチモジヨトウに対して、変態阻害活性を示す新規化合物SF28を見出している。SF28はJHアゴニスト様活性を示したことから、本年は、SF28のin vtroにおける生物活性を検討するとともに、ドッキングシミュレーションに基づいたSF28の構造と活性の関係を調べた。
まず、カイコ培養細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにおけるSF28の生物活性を検討したところ、SF28は弱いJHアンタゴニストしか示さず、JHアゴニスト活性に関しては認められなかった。このことから、SF28はカイコに対してin vitroおよびin vivoにおいても活性を示さないことが明らかになった。
次に分子シミュレーションソフトMOEをもちいてヨトウガのJH受容体(Met)とのドッキングシミュレーションを行った。その際、Metの構造モデルに高精度なタンパク質予測が可能であることから注目されているAlphaFold2によるモデリングを使用した。その結果、SF28の4-メトキシベンジル基をより立体障害の小さいアルキル基に改変することで、親和性が向上することが推察された。そこで、様々な誘導体を合成し、シロイチモジヨトウに対する生物活性を調べた。n-ブチル基を導入したSF38において、脱皮不全による高い致死活性が認められた。SF38はカイコに対しては非常に弱い早熟変態誘導活性を示したことから、JHアンタゴニストとして作用していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

受容体結合試験で使用するMetについて、大腸菌によるMetタンパク質の発現および抽出は問題なく行えたが、精製後の夾雑タンパク質が多いため、等温滴定カロリメトリーによる解析が実施できなかった。精製法の検討を実施しているため進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

最優先で等温滴定カロリメトリーによるカイコおよびヨトウガのJH受容体との結合阻害試験系の構築を行う。構築後は、自身の所有するJHアンタゴニストを用いてスクリーニングを行い、害虫に対してのみ生物活性を示すJHアンタゴニストの選抜を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症への対応により、予定していた実験の実施が遅れ、必要な実験器具および試薬の購入がなかったため。当該の実験は次年度に実施するので主に消耗品費として使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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