研究実績の概要 |
本研究では、チャバネアオカメムシPlautia staliの集合フェロモンであるMethyl(E,E,Z)-2,4,6,-decatrienoate(MDT)の合成に関わるメチル基転移酵素遺伝子を同定してその機能を明らかにすることを目的としている。本年度はその候補となる遺伝子を探索するために、以下の実験を行った。公開されているチャバネアオカメムシのRNAseq配列データを用いてトランスクリプトーム解析を行い、既知の幼若ホルモン酸メチル基転移酵素(JHAMT)とホモロジーを持つ8種のJHAMTホモログを同定した。そして、それらの配列情報に基づき、各JHAMTホモログの発現時期および組織を解析するために必要な、定量PCR用の特異プライマーをデザインした。また、MDT合成の活発な時期を明らかにするために、日齢の異なるチャバネアオカメムシ非休眠雄成虫および休眠雄成虫のヘキサン抽出物を作成し、GC/MS/MS分析を実施している。一方、MDTを含めてカメムシ類の集合フェロモンの合成器官はまったくわかっていない。そこで、チャバネアオカメムシのMDT合成器官を特定するために、まったく新しいアプローチとして、Imaging MSを用いた分析を開始している。今後、定量PCRによる時期・組織特異的なJHAMT遺伝子発現情報とGC/MS/MS分析およびImaging MS分析により得られる、時期ー組織特異的なMDTの合成活性情報の解析結果を照合し、MDT合成に関わる可能性の高いJHAMT遺伝子の特定を進める。
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