研究課題/領域番号 |
20K06069
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
岩永 将司 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40400717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バキュロウイルス |
研究実績の概要 |
Bombyx mori nucleopolyhedrovirus(BmNPV)は、カイコに特異的に感染するバキュロウイルスである。BmNPVの感染細胞では、宿主細胞の全タンパク質量の3-5割をウイルス由来ポリへドリンタンパク質が占めるようになり、強力なポリへドリンプロモーターを利用した組換えタンパク質発現系が獣医薬や診断薬の生産に利用されている。ポリへドリンが大量に発現されるメカニズムについては、プロモーターの解析や、プロモーター領域に結合するタンパク質の同定などが報告されているものの、その詳細は未だ明らかではない。一方、カイコを含む真核細胞にはATPを生産するミトコンドリアが存在する。ミトコンドリアの祖先はかつて共生した好気性細菌とされており、ATPはタンパク質合成の場であるリボソームを含めエネルギーの通貨として働いている。そこで本研究では、ミトコンドリアを1つの切り口として、BmNPVが宿主ミトコンドリアをどの様に制御し、旺盛なタンパク質合成を果たしているのかを明らかにするため、まず、ウイルス感染細胞からミトコンドリアを分画し、含まれるタンパク質を二次元電気泳動、及びLC/MS/MSで解析した。その結果、ウイルス感染細胞ではBmNPV由来GP37がミトコンドリアに局在することを明らかにした。そこで、組換えGP37を大腸菌で発現し、GP37特異的な抗体を作製して解析した結果、ウェスタンブロッティング、及び免疫細胞染色によってGP37の局在を確認した。次に、BmNPVにおけるGP37の発現解析によって、GP37は典型的な後期遺伝子であるだけでなく、BmNPVのBVの構造タンパク質であることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、二次元電気泳動、LC/MS/MS、及び、特異的な抗体の作製によって、GP37がBmNPV感染細胞のミトコンドリアに局在することを明らかにした。これはバキュロウイルスにとって始めての知見であり、本年度は概ね順調に研究が進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
GP37を欠損したBmNPVを作製し、野生株と比較することでGP37がどのような働きを担っているのか明らかにする。例えば、ウイルスゲノムの複製量や各種ウイルスタンパク質の発現プロフィールを比較することによって、GP37がミトコンドリアに及ぼす影響を調査する。
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