研究実績の概要 |
昨年度作成した成虫オス生殖輸管におけるISO-Seqによる発現遺伝子解析データベースに対して,アノテーションならびにスプライシングバリアントの整理を行なった。この結果,既に公共データベースでのアノテーション間違いならびに多数の新規遺伝子を見出すことができた。その中には,新規セリンプロテアーゼやインヒビターならびに,精子成熟誘発因子となっているトリプシン様プロテアーゼの新規候補基質タンパク質を見出すことができた。ゲノム上でタンデムに並ぶBmSfp49, 53, 54, 62をすべてノックアウトさせた系統が変異アレルホモ接合 (-/-) 状態で,オス特異的な完全不妊となる原因を明らかにするために,BmSfp49, 53, 54, 62のメス体内における動態を検討した。その結果,野生型および,精液タンパク質ノックアウト系統であってもオス不妊にならない系統では,交尾嚢内で低分子に分解されたものの一部が受精嚢へと移動していることが明らかとなった。よって,これら精液タンパク質の分解ペプチドは有核精子の交尾嚢から受精嚢への移動に関係している物と推定された。貯精のう特異的に発現するアンジオテンシン変換酵素 (ACEr2)の機能的ノックアウト系統は継代によりオスのほぼ完全なオス不妊状態となった。
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