研究課題/領域番号 |
20K06078
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
原野 健一 玉川大学, 学術研究所, 教授 (80459297)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 採餌行動 / 燃料 / エネルギー |
研究実績の概要 |
社会性ハナバチであるミツバチやマルハナバチは、採餌蜂が花粉荷を作るために採取した花粉に花蜜を混ぜ込まなくてはならないことが知られている。すなわち、これらの種は花粉を収穫するために、花蜜を必要とする。セイヨウミツバチでは、この花粉運搬用の花蜜を巣から持ち出していることが知られている。単独性ハナバチであるトゲアシヒメハナバチが花粉荷を作るために、花蜜を必要とするかどうかを調べるため、花粉荷と本種の主要な花粉源であるカントウタンポポの花から直接採集した花粉の糖含有量を比較した。その結果、両者の糖含有量に差はなく、本種は花蜜を混ぜずに花粉荷を作っており、出巣時に保持している蜜は花粉荷を作るために使われるのではなく、採餌のための燃料であることが示された。 研究に用いるための筒営巣性種を得るために、トラップネストとして、マメコバチ用の巣材(カヤ)を設置したところ、多数のツツハナバチを営巣させることに成功した。これによって活動期に多数の成虫が研究に利用可能になっただけでなく、冬期に繭を収穫することで、活動期以外にも実験を行うための道が拓けてきた。繭を5℃で保存したあと、室温に戻すと数日で成虫が脱出してくることも予備的に確認した。 また、切り口が垂直なカヤと斜めのカヤで営巣率を比較したところ、後者に有意に多くのツツハナバチによる営巣が見られることがわかった。太めのカヤには夏期に多数のオオハキリバチが飛来し、営巣することも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題では、ハナバチの活動期に当たる春期にほとんどの実験を予定しているが、今年度の春期にはCOVID-19に関する非常事態宣言が発令され、大学内での研究活動が禁止されたので、計画がほとんど実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象としていたトゲアシヒメハナバチ個体群の個体数が減少してきたため、この種を用いた実験が困難になってきた。そのため、今後はヒメハナバチに関する研究は餌植物の調査を中心に行う。出巣蜜に関する実験、調査は蜂側のサンプル数が十分に集まりそうなツツハナバチを用いて行う。 2020年度に予定していたがCOVID-19のために実施できなかったツツハナバチの行動観察と餌植物調査は2021年度に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響で、予定していたツツハナバチの行動観察と餌植物の同定が行えなかったため、研究費の使用額が計画より少なくなった。これらの計画は、2021年度に実施し、繰越金は行動記録のための機材購入と餌植物のDNA解析のための消耗品等として使用する。
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