多くの種の女王アリでは、交尾後に、オスから受け取った精子を受精嚢の中で10年以上にもわたって保存することが知られている。本研究では、この長期間の精子貯蔵メカニズムを探るため、精子が貯蔵される微小空間である受精嚢リザーバー内の環境に着目した。その結果、受精嚢リザーバー内がほぼ無酸素環境であり、これが貯蔵精子の不動化を引き起こしていることを明らかにした。さらに、人為的に作り出した無酸素環境下では、有酸素環境下よりも精子の生存率を高く維持できた。このことから、受精嚢内のほぼ無酸素環境が、長期間の精子貯蔵メカニズムの鍵のひとつであるといえる。
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