研究課題/領域番号 |
20K06083
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
渡邊 和代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (80835116)
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研究分担者 |
粥川 琢巳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (70580463)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 昆虫 / 培養細胞 / 初代培養 |
研究実績の概要 |
本研究では、難培養細胞樹立昆虫を用いて人為的ストレスなどの刺激を利用した新規培養細胞系の樹立と新しい樹立プロトコルの確立を目指す。また既に樹立されている培養細胞系を用いて、細胞系樹立に関与している遺伝子を探索し、細胞系樹立にフィードバックすることを目指す。 (1)難培養細胞樹立昆虫であるエンドウヒゲナガアブラムシを用いた初代培養系を検討した。アブラムシ成虫から胚子を取り出し、ホモジナイズ後、フィルターに通して培養に供した。この初代培養系を用いてまず培養液の検討を行い、スクロースまたはトレハロースを多く含む培養液が最適である事がわかった。次に培養開始前または培養開始後に熱処理、低pH処理などを行った。その結果、培養フラスコへの接着性などに多少変化が観察されたが、その後細胞の増殖には至らなかった。(2)ハスモンヨトウとハスモンヨトウ由来培養細胞を用いて、組織と培養細胞の遺伝子発現解析を行なった。解析には血球由来培養細胞(SL26)、皮膚由来培養細胞(SL54)及び脂肪体由来培養細胞(SL64)とそれぞれの由来となった幼虫組織を用いた。RNA-seqを行い、細胞系と由来組織との遺伝子発現量の比較を行った結果、それぞれ8926個(血球:SL26)、9499個(皮膚:SL54)、8001個(脂肪体:SL64)のDEG(発現変動遺伝子)を検出した。これらのうち、培養細胞に比べ全ての組織で高発現のものが1121個、逆に組織に比べ全ての培養細胞で高発現のものが993個であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、初代培養系の検討と遺伝子発現解析を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
難培養細胞樹立昆虫における初代培養については、アブラムシ以外の昆虫についても実験を行う。初代培養時の人為的ストレスの種類を増やしていく。遺伝子発現解析については、さらに詳しい解析を行い、候補遺伝子を絞り込みRNAiなどの手法を用いて昆虫細胞への効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
倒立顕微鏡の購入費用、外部に委託したRNA-seq実験の費用が予定より安価だったため。 次年度は消耗品、実験試薬の購入、または必要に応じてRNA-seq実験の費用に当てる。
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