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2021 年度 実施状況報告書

イエカ属の性決定機構及びその分子進化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06085
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

糸川 健太郎  国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70769992)

研究分担者 駒形 修  国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20435712)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード蚊 / 昆虫 / 性決定
研究実績の概要

蚊(Culicidae)はマラリアやデング熱といったヒトの重要な疾病を媒介する重要な分類群である。蚊類の性決定機構にはいずれの種でも異形Y染色体あるいは同型の第一染色体上に存在する顕性のオス性決定因子(M因子)が関わっていることが古くから知られていた。本研究ではフィラリア症やウエストナイル熱の媒介者であるイエカ(Culex)属の蚊における性を決定する遺伝子(M因子)を、次世代シーケンサーやゲノム編集法などの最新の技術を用いて特定することを目的とする。イエカ属に存在するM因子は、これまでに他の属で特定されている性決定遺伝子の相同遺伝子(オーソログ)ではなく、イエカ属独自に進化・獲得した遺伝子である可能性が高い。イエカ属のM因子特定は、重要な疾病媒介蚊の新たな防除技術へと繋がることが期待される。昨年度は、ネッタイイエカ雄及び雌成虫の全mRNA 配列 (mRNA-seq) 解析を行い、トランスクリプトームの比較解析を行った。雌雄で特異的に発現している遺伝子群を見出したが、一方で、これまでに特定している性異的な染色体領域に存在している遺伝子については雄特異ミオシン重鎖様遺伝子(myo-sex)以外で発現している遺伝子を見出すには至らなかった。性決定遺伝子は胚発生初期等の特定のステージのみで発現している、あるいはpolyA 鎖を持たない非コードRNAとして発現している可能性が示唆された。従って、今後は多様な発育ステージでRNAを採取すること、また、次世代シーケンシングライブラリ作成時にmRNA以外の分子種も網羅する方法を用いる等の改良を行い、再度トランスクリプトームを試み必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の流行が続き、所属機関での緊急業務が増え満足な時間が取れなかった。また、野外調査が困難であったため、新たなサンプルを得ることができなかった。

今後の研究の推進方策

より多様な発育ステージで再度トランスクリプトームを試みる。またM因子は下流応答遺伝子としてdoublesex (dsx)遺伝子の選択的スプライシングを制御していることが分かっている。そこで、M因子候補遺伝子dsRNAのインジェクション後(数時間)に、雄におけるdsx遺伝子のスプライシングパターンがメスのスプライシングパターンにシフトするかどうかを確認する。胚の性別に関してはmyo-sex遺伝子の有無で判定可能である。また、CRISPR/Cas9による遺伝子ノックアウトでG0(モザイク)オス成虫の形態(生殖器等)に本来メスに見られるような特徴が表れるかどうかを観察する

次年度使用額が生じた理由

本年度予定していた遺伝子ノックダウン/ノックアウト実験が行えず、未使用額が生じた。このため次年度に持ち越して、予定していた実験を行い、未使用額はその経費に充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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